ラミレスが舌打ちした谷の「一塁転向」

　巨人の一塁手がさらに増えた。

　２３日の東京ドームでの広島戦前に外野手の谷が一塁の守備練習を行った。「今後も練習する。一塁ミットも発注した」と本格的に取り組むようだ。

　谷はオリックス時代の９９、００年に一塁で７７試合に出場。今春のキャンプでも練習していたが、気分転換程度で基本的には外野に専念していた。だが、新人長野の加入と松本の成長で３７歳のベテランは層が厚い外野での出番が激減。代打での出場が続いている。

　巨人は腰の手術から復帰した高橋が今季から一塁に挑戦。昨季からは亀井も一塁で起用されている。一塁が本職の李スンヨプもいて豪華な顔ぶれだ。だが、いずれも成績がパッとしない。一塁の開幕スタメンの座を勝ち取った高橋はこの日、貴重な２点適時二塁打を放ったものの、ここまで打率．２０９、亀井も．１６４。李に至っては．１０５とそろって低空飛行。そこで打力のある谷に白羽の矢が立ったというわけだ。

　そんな谷の一塁コンバートをうらやましそうに見ていたのがラミレスだ。「原監督に勧められた」とキャンプでは自前の一塁ミットを持参。ヤル気満々だったが、緩慢な動きでエラーを連発。原監督から「落ち着くところはレフト」と不合格を宣告されてもキャンプが終わるまで一塁の練習を続けていた。

　昨季チームで唯一の全試合先発出場を果たした３５歳のラミレスには「あと１０年現役でやりたい」という夢がある。自慢の打撃力を生かし、１年でも長く現役を続けるため、足腰などに負担がかかる左翼から一塁へのコンバートを強く希望しているのはそのためだ。８本塁打、２８打点はリーグ２冠も、打率は．２２９。まだ本調子ではない。谷の一塁挑戦にラミレスの舌打ちが聞こえる。

　ちなみに２３日の谷は六回代打で右飛に倒れた。

（日刊ゲンダイ2010年4月24日掲載）