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ポートアイランド30年 「未来都市」に高齢化の波(2/2ページ)

2010年4月26日9時58分

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 島の南側を新たに埋め立てた第2期事業は、08年度末時点の土地売却が2割にとどまる。06年2月に開港した神戸空港周辺の分譲地も、83ヘクタールのうち3ヘクタールしか売れていない。

 ただ、島の歴史のなかで着実に育ってきたものがある。

 「山も川もなく、神社も寺もない島で、ゼロから伝統と文化を作り上げた」

 こう語るのは自治会組織・港島自治連合協議会会長の安田登さん(75)。84年に協議会を設立して以来、会長として地域のきずなづくりに取り組んできた。毎夏、子どもたちが演奏を披露する「港島たそがれコンサート」や「港島杯ソフトボール大会」は約20年前から続く恒例行事だ。

 震災で大規模な液状化現象が起きた際には、民間マンションの敷地でも公共性の高い部分は住民の強い要望で市が修復することになった。地震の1週間後、物資不足に苦しむ他の地域に配慮して、自主的に市からの配給を返上したこともある。「結束力のあるポーアイだからこそできた」と安田さんは言う。

 06〜07年春にかけて神戸女子大、神戸学院大、兵庫医療大、神戸夙川学院大の四つの大学が進出。昼間人口は増えつつある。三宮と島を約10分で結ぶ新交通システム「ポートライナー」の乗客数は08年から2年連続で、81年の神戸ポートアイランド博覧会以来となる2千万人を突破した。

 82年から暮らす協議会事務局長の粟原富夫さん(56)は「私たちが住む古い街と、学生たちの新しい街を一つにすることが、ポーアイ再生の鍵になる」と期待する。(日比野容子)

     ◇

 〈ポートアイランド〉 神戸市が1966〜80年度、神戸港沖に約5300億円をかけて造成した443ヘクタールの人工島。2期事業は86〜09年度、南側の海上に約5200億円で390ヘクタールを埋め立てた。先端医療技術を中心とした企業誘致を進めている。

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