望 〜都の空から
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【政治】巨大民意 政府八方ふさがり2010年4月26日 朝刊 米軍普天間飛行場の国外・県外移設を求める沖縄県民大会に九万人が集まったことで、県内移設を探る政府は決着期限の五月末を前に、さらに窮地に追い込まれた。同県名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する、現行案を大筋で認める動きが政府内に出てきたことにも、県民の反発は強く、鳩山政権は八方ふさがりだ。 政府高官は二十五日、県民大会の参加者数を聞くと「そんなに多いのか」と驚きの表情を見せた。仲井真弘多知事や代理を含む県内の全市町村長が大会に参加した「民意」が、政府に対する強いプレッシャーになることは間違いない。 政府は普天間の代替施設を米軍キャンプ・シュワブ陸上部に造ることを軸に、在沖縄米軍の訓練やヘリ部隊を鹿児島県・徳之島など県外に可能な限り移転する案を検討してきた。しかし、米国から同意を得る見通しが立たず、いったんは拒んだ現行案を大筋で受け入れるべきだとの意見が政府内で浮上している。こうした泥縄に近い政府の姿勢に対し、県民大会で反発の声が上がった。名護市の稲嶺進市長は、現行案を含む県内移設に反対する考えを明言した。 一方で、現行案の浮上は政府内の足並みが完全に乱れていることをはからずも露呈した。肝心の鳩山由紀夫首相自身が計画地の辺野古の海を埋め立てることは「自然に対する冒涜(ぼうとく)だ」と、強い拒否反応を示したためだ。 現行案やその修正など、埋め立てを伴う移設計画は認めない考えとみられるが、かといって、首相がこだわる県外への移転は徳之島の拒否で展望はないに等しい。依然解決への糸口すらつかめぬ状況に、首相の進退論が現実味を帯びかねないとの懸念が与党内で強まっている。 「まだ(詳しいことは)分からないから」−。県民大会の感想を記者団に聞かれた首相は言葉少なだった。 (政治部・竹内洋一)
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