映像が立体的に見える3次元(3D)テレビをパナソニックが国内で初めて発売した。ソニー、シャープ、東芝なども相次ぎ発売する。世界のテレビ市場で日本の家電メーカーの存在感が薄れている今、3D技術による巻き返しを期待したい。
3Dテレビは特殊な眼鏡をかけることで人やモノが立体的に見える。アナログのテレビでも可能だったが高精細なデジタルテレビが登場したことで映像品質が格段に向上した。テレビはカラー化、ステレオ化、ハイビジョン化を経て、次は3D化に向かうというのが家電業界の見方だ。サムスン電子など韓国企業は日本企業に先駆けて発売している。
この3Dテレビで日本勢が韓国や台湾に負けず、テレビの国内生産を維持するにはどうしたらよいか。
まず3D映像を効率よく配信する標準技術を確立すること。米3D映画の「アバター」が日本でも人気を呼んだ。当面はブルーレイ・ディスクに記録した3D映画の需要が見込まれる。日本はDVDやブルーレイなど録画機器の標準化を主導した経験から、そうした機器とテレビをつなぐ技術で強みを発揮すべきだ。
大きな課題は放送への対応だ。3D映像を出すには多くの情報を送る必要がある。最初はケーブルや衛星放送、ブロードバンド放送などが有望だが、本格的な普及には地上デジタル放送への対応が必要だ。この点では技術の標準化はまだ進んでおらず、日本企業が海外メーカーを巻き込む形で3D放送の標準化を進める必要がある。
パソコンやゲーム機への応用も鍵を握る。ゲームを立体的に表示するにはそのための画面が要る。NECが3Dパソコンを発表したが、この分野でも台湾メーカーが先行している。日本の技術を世界に広めるには、テレビ以外のデジタル機器との連携も視野に入れるべきだ。
価格の設定も重要なテーマだ。韓国などとの価格競争に負けないためには、需要の伸びを見極めながら、機敏で積極的な設備投資により量産効果を出すことが求められる。
視聴者の健康への気遣いも大切だ。3Dテレビを見ていると気分が悪くなるという人もいる。視聴者の不安を取り除くには、過度な立体表示をやめるなど、映像制作の面でも共通の指針作りが課題になる。
世界の家電各社が一斉に3Dテレビを発売する今年は「3D元年」とも呼ばれている。薄型テレビで韓国勢に差をつけられた日本メーカーは、振り出しに戻ったつもりで入念な戦略を世界に示すときである。
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