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眼光紙背

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眼光紙背[がんこうしはい]とは:「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
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【赤木智弘の眼光紙背】親の問題を無視して、児童ポルノは語れない

赤木智弘の眼光紙背:第25回

今月11日、日本ユニセフ協会が「なくそう!子どもポルノキャンペーン」をスタートさせた。
特設サイト(*1)では、子供が性的に搾取されている現状が提示され、署名に協力してほしいと訴えている。

一見、子供の安心安全を守るために、こうした活動を支えることは必要なことに思えるかもしれない。しかし私は日本ユニセフ協会の姿勢に賛同しない。
この件についてはさまざまな問題提起がネット上で行われているので検索して欲しいのだが、私が最も気になるのは、日本ユニセフ協会が「児童ポルノの最大の供給元」を知っているはずなのに、特設サイトでそれを一番大きく扱っていないことだ。

特設サイトにあるスライドショーを見ると、インターネットやゲームメーカーや出版社が「子どもポルノ」を供給し、マニアが需要しているという単純な構図に見えてしまう。
そして、単純所持の違法化でマニア側を締めつけ、きわどいポーズで実在の子供を撮影した写真集やビデオ、またマンガやゲームといった実在の子供を扱わない性的表現を「子どもポルノ」として供給側を締めつけることにより、児童ポルノを撲滅できるかのように思える。
しかし、マンガやゲームなどの、実在ではない場合を別として、実際の子供が児童ポルノやポルノまがいのビデオなどに出演させられるときに、その後ろに必ずいるのは、その子の親である。児童ポルノの最大の供給元は、間違いなく「親」である。
実際、キャンペーンサイトの中にも、子供が親や親戚によって直接加害を受けたり、売春をさせられている例が掲載されている。(*2)
にもかかわらず、スライドショーからは、親という児童ポルノ問題を語るのに欠かせない、最大のファクターが全く消えうせてしまっている。

児童ポルノの問題は、1つは直接的な性的暴行。そしてもう1つが他者に対して性的サービスを提供する形での労働搾取の問題に分けられる。そして、後者の問題は性的サービスに限らずとも、通常の労働であっても子供からの搾取に違いはない。
なぜ、きわどいポーズの児童ポルノまがいのビデオや写真集に、親が子供を出演させているかといえば、それは単純にその場でのお金のための事もあるが、「子供を芸能人にできる」と騙される形で出演させる例も多いと聞く。
しかし、そうして騙されるのは、親が「子供を有名にして、お金を稼がせよう」という、子供に対する労働搾取の魂胆があるからであり、騙された親は決して純然たる被害者などではない。

しかし、日本ユニセフ協会はそうした「親の欲望」を大きくは取り扱わない。
それどころか、募金をしてくれるであろう親による搾取を隠蔽するために、マンガやゲームという、親ではないオタク(オタク=独り者というパブリックイメージ)を攻撃する材料を提供し、不安を抱える親たちの味方であるかのように振る舞う。
しかし、日本ユニセフ協会が本当に児童ポルノなどの子供に対する搾取に反対するのであれば、日本ユニセフ協会は親ではなく、子供の味方になるべきなのだ。子供を守るために、親が子供を虐待、搾取しているという真実を社会に伝え、親の子供の扱いに対して疑問を呈しなければならない。
その結果、親と反目する結果になるかもしれないが、そもそも児童の権利を保護する以上は親との衝突は避けられない。

安全安心の問題ばかりが過大視される今の日本において、「親」というのは子供の安全を絶対に守る存在だというパブリックイメージがある。たとえばGPS携帯などで親が子供を監視すれば、子供は安全だという宣伝が通用するぐらいに、親は信頼されている。
しかし、注意深くニュースを見ていれば、親による子供の虐待や殺害が決してレアケースではないことを知ることができるはずだ。
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