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【書評】『中国人の世界乗っ取り計画』河添恵子著
■狂躁ぶり描く驚嘆リポート
一読して驚いた。日本での中国人の迷惑行動は承知だったが、本書はカナダはもとよりイタリアからアフリカまで世界各地の中国人の狂躁(きょうそう)ぶりを余す所なく描く。実に驚嘆すべき実態リポートである。
ある移民コンサルタントが移民の相談をしに来た中国人に「卒業証明書は?」と尋ねたら、「どこの大学がいいか? 明日準備するから」と言われて絶句したという話が書かれている。偽造書類作成は朝飯前のツワモノぞろいの中国人世界である。中国国内では人民元の偽札問題が日常化している。銀行のATMからも偽札が出る。銀行は回収してくれない。中国の全通貨発行量の20%は偽札だと囁(ささや)かれている。
賄賂(わいろ)による無税の収入と不動産と株売買で得た不労所得がメーンとなった中国バブル経済で突如成金となった一部富裕層は、先進国に永住権を求めて世界中に飛び出した。彼ら中国人は中国人を信用していないし、中国を愛してもいない。あらゆる手段で他国に寄生し、非常識と不衛生と厚顔無恥な振る舞いのオンパレード。納税してもいない先進国で、教育も医療も同等の待遇を得ようと、がむしゃらな打算で欲望のままに生きようとする。自国との関係は投資目的だけ。自国の民主化なんかどうでもいい。
私は非社会的な個人主義者である中国人がなぜ現在世界中から恐れられているようなまとまった国家意志を発揮できるのか今まで謎だった。しかしこのリポートの恐るべき諸事実を読んで少し謎が解ける思いがした。法治を知らない民の個々のウソとデタラメは世界各地に飛び散って、蟻が甘いものに群がるように他国の「いいとこどり」の利益だけしゃぶりつくす集団意志において、外からは一つにまとまって見えるだけである。
「ウソでも百回、百カ所で先に言えば本当になる」が中国人の国際世論づくりだと本書は言う。既に在日中国系は80万人になり、この3年で5万人も増えている。有害有毒な蟻をこれ以上増やさず、排除することが日本の国家基本政策でなければならないことを本書は教えてくれている。(産経新聞出版・1365円)
評・西尾幹二(評論家)