【北京=朝田憲祐】中国人の北朝鮮への団体観光が四月、全面的に解禁された。北朝鮮の経済悪化が伝えられる中、中国からの団体旅行が定着すれば、外貨獲得の貴重な手段となるとみられる。
二十四日の新華社通信などによると、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東から、浙江省や広東省などの団体客四百人余を乗せた初の特別列車が北朝鮮に入った。外国人客も含まれており、旅行客の一人は「隣国を知る絶好の機会になる」と話したという。
中国国家観光局は二〇〇八年、北朝鮮への団体旅行の正式認可を発表。しかし、北朝鮮によるミサイル発射や核実験の強行により中朝関係が停滞したこともあり、全面解禁が見送られてきたとされる。
その後、昨年十月に温家宝首相が訪朝した際、団体旅行を本格的に開始することで合意。北京など都市部の旅行大手八社を業者に認定し、今月十二日にツアー第一陣が出発した。料金は、北京発着の航空機を利用し、平壌や妙香山、板門店などをめぐるツアーが四泊五日で四千五百元(約六万二千円)程度という。
北朝鮮の旅行社幹部は、中国メディアに「今年は中国人観光客三万人以上が目標。今後さらに増やしたい」と意気込みを語った。
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