昨日、今日と二日間、沈没船周辺の海中の海没遺骨を調査しましたが発見出来ず。腹立つことに約15船の日本の沈没船が主に欧米人ダイバーによるダイビングスポットになっていた。

　見せ物にされていることが悔しい。そしてもっと悔しいのが日本兵のご遺骨がお土産品として一かけら約200円で売られているとの情報を現地で耳にした時は怒りでプルプルしてしまった。海没遺骨は発見出来ませんでしたが、海岸沿いの洞窟四ケ所で約30体のご遺骨を発見。

　しかし、残念ながら今日も収集は認められず。断腸の思いで現場を後にしなければならなかった。

　今日をもって今回のご遺骨調査活動は終了。約120〜130体を発見。しかし収集はゼロ。これから空援隊が現地行政などと協議を重ね引き取りの許可申請を行うわけです。これを日本サイドの行政が行うわけではなく空援隊といういちＮＰＯが交渉を相手国なり地方行政と行うのです。相手からすれば「日本は一体全体どんな国だよ」と思うでしょう。
　
明日はマニラに飛びます。夜は日本大使館の方とお会いしますので現場で感じた感情をぶつけたい。

　たかだか数日間でこれだけのご遺骨を発見した。もちろん全ての洞窟内の調査など不可能でこのままのスピードでは半永久的に続くのだろうか・・・

　フィリピンサイドの戦争体験者が年々減少していくなかで生きた情報も集まらなくなっていく。つまり時間がない。そんな焦りと同時に日本側ののんびりとした姿勢に苛立ちが抑え切れなくなりそう。

　明後日、日本に戻りますので頭冷やして少し冷静にならなきゃなりませんが、現場にいますと、どうしてこんなに当たり前のことが当たり前にできないのかと頭痛がしてきます。ちょっと愚痴りましたが今日は勘弁してください。

　むしょうに腹がたって仕方がありません。

　悔しいかな、それが今の現状です。

　知らなきゃ精神的にも肉体的にも楽でしたが知ってしまった、見てしまったのだから、どうしようもない。

　知ることとは時に酷ですが、この活動を現場から伝え続ける事によってなんとか活路を見つけだしたいと思っています。

　今日までは携帯メールから原稿を送信していますので、明日以降は現場で撮影した写真を随時アップしていきますので現場の世界を一人でも多くの日本人に伝わる事を願っています。

3月10日・フィリピン某所にて
野口健