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「タクと一緒に…」谷、追悼の代打逆転満塁弾!
背番号「0」のユニホームを着て始球式を務めた木村コーチの長男・恒希くんは、阿部に頭をなでられ話しかけられる
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【巨人7−4広島】天国まで届け――。巨人は24日、くも膜下出血で7日に37歳の若さで急逝した故木村拓也コーチの追悼試合として、広島戦を行った。1点を追う8回に同学年の谷佳知外野手(37)が劇的な代打逆転満塁弾。お立ち台では涙を流し、亡き友に白星をささげた。ウイニングボールは試合前にパパのグラブで始球式を行った長男の恒希くん(10)の元へ。木村コーチの魂とともに、巨人ナインは2年連続の日本一へと突き進む。
技術ではない。気迫だった。常識では計り知れない力が谷の体を突き動かした。見逃せばボール球だった高め直球。フルスイングした打球は左中間席に突き刺さった。タク、見てるか…。ベースを一周する男の目に熱いものがこみ上げた。1点を追う8回1死満塁。代打で今季1号の逆転満塁弾だ。お立ち台。涙をこらえるのは無理だった。
「きょうはタクの日。勝ちたいと思っていた…。タクとは同級生でいつも一緒だった。泣かないでおこうと思ったけど、涙が止まらなくて…。タクと一緒に頂点を目指したい」
くも膜下出血で死去した木村コーチの追悼試合。2日に倒れて死去する7日までは、木村コーチと共通の知り合いを通じて病状を気にしていた。同学年でアテネ五輪の同僚。巨人で同僚となった07年からはオフやキャンプで食事やゴルフをともにした。思い出すのは、昨年オフの言葉。「今年から選手とコーチだから、一緒にゴルフや飲みに行けなくなるのが寂しい」。谷も同様の心境を抱いていたが、心はつながっていた。友へ贈る満塁弾。「こんな場面で出してもらい感謝している」と感極まった。
試合前には喪章をつけた両軍ナイン、ファンが黙とうをささげ、始球式は長男・恒希くんが務めた。内野陣がマウンド周辺に集まり、首脳陣はベンチ前に整列した。パパの現役時代の背番号0のユニホームを着た10歳の少年は、小さな体全体を使ってストライク投球。多くのファンが涙を流し、拍手はしばらく鳴りやまなかった。お立ち台を終えた谷は一塁ベンチ前で勝利の記念球を手渡し「これから大変だと思うけど野球をやっているならプロを目指そう」と語りかけた。一発を打ったバットにはサインを入れ、由美子夫人に贈った。遺族のために何かをしてやりたかった。
昨年11月。東京ドームでの「ファンフェスタ」の引退セレモニーで木村コーチは「いつも支えてくれてありがとう。パパは頑張ったよ」と目に涙を浮かべて家族に感謝した。始球式で恒希くんは用意されていたグラブではなく「パパのグラブを使いたい」と願い出て、午前中の「お別れの会」で祭壇に飾られていたグラブを使用。08年に作製された練習用の小さめのグラブは10歳の手にピッタリだった。選手の誰もが、そんな木村家のきずなの強さを知っている。追悼試合で負けるわけにはいかなかった。
生きてともに戦うことはできない。だが、野球を愛し、巨人を愛し、そして何より家族を愛した「木村拓也」は、これからも常勝軍団の一員だ。
<7本目の代打逆転満塁弾>代打の谷(巨)が逆転満塁弾。巨人打者の代打満塁本塁打は19本目だが、逆転となると07年5月31日のソフトバンク戦で矢野が打って以来7本目だ。チームの今月の満塁本塁打はラミレスの2本と坂本の1本も合わせ4本目。巨人の月間満塁弾4本は、01年7月まで過去8度あった3本を上回る球団新記録で、81年6月の阪神、99年6月の横浜に並ぶセ最多タイ記録になった。プロ野球記録は80年8月の西武、96年5月の近鉄が記録した各5本となっており、巨人は残り5試合で上積みできるか。なお、巨人の満塁本塁打はこの日の1本で2リーグ制後通算200本目。同期間では西武の198本を上回る最多本数で、1リーグ時代からの通算は211本。
【試合結果】
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