いつまでも待ってはいられない。中日・落合博満監督(56)が24日の阪神戦(甲子園)敗戦後、不振のディオニス・セサル外野手(33)の2軍降格を決断した。試合でも3度の好機に凡退した新外国人のほか、3野手も大阪の宿舎を後にした。下位打線が機能せず、貯金消滅の危機に大幅なテコ入れを断行だ。
うっすら笑みさえ浮かんだ。荷物をまとめて大阪市内の宿舎を後にするセサルは「早く戻ってくるよ」。指揮官の、ファンの期待に応えられなかったという悔しさを隠し、名古屋へと帰っていった。
3試合連続で、7番中堅のスタメン出場。ヒーローとなるチャンスは何度もあった。最初のシーンは和田の犠飛で追いついた4回だ。1死二、三塁、最低でも犠牲フライがほしい場面で阪神・能見の前に力ない二ゴロ…。そして2度目の大チャンスは同点の6回だった。1死満塁の第3打席はファウル、空振り、空振りの3球三振。その裏に阪神に勝ち越し点を献上、明らかに勝負を左右する分岐点だった。
「能見? グッドピッチャー。ストレートも落ちるボールもよかった」
表情は青ざめ、肩を落とした試合後は、こう絞り出すのが精いっぱい。1点を追う8回2死一、二塁という3度目のチャンスでも打順が巡ってきたが、最後は阪神の守護神・藤川球の直球にバットがピクリとも動かず見逃し三振。結局、この日だけで延べ7人もの走者を塁上に残してしまったのである。
「セサルは悪循環に陥っている。打てないからボールを見ようとして簡単にストライクを取られている」と辻総合コーチが言えば、石嶺打撃コーチは「日本の感覚にまだ合っていないのかな」と首をかしげた。これが実力なのか、それとも生みの苦しみなのか。いずれにしても期待された新外国人はここまで打率1割4分7厘。開幕時での2番ではつなげず、この日で4試合目の7番に降格してもチャンスを生かせない。安打は出場5試合、打点は出場14試合も記録していない。
「あしたから出直しだ。出直し? メンバーを入れ替えるよ」
試合後、不敵な笑みを浮かべた落合監督は大幅な入れ替えを示唆。その言葉通りにセサルには2軍降格令が下ったようだ。しかし新外国人だけの問題ではない。荒木が復調、井端だって悪くない。森野、ブランコ、和田の主軸は依然好調、なのにここ5試合は3、2、3、1、1得点の竜打線。貯金も広島に3連敗した18日時点の「1」に逆戻り。首位・巨人との差は今季最大の3・5ゲームに開いた。次なる手が功を奏するのか。課題の6番以降が機能しない限り、上昇気流には乗れない。 (兼田康次)
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