企業のサプライズ業績、消費回復のシグナルか(下)

金融危機で企業体質強化

 世界主要企業の業績改善は、世界的に景気が回復の兆しを見せていることが主な要因となっている。未来アセット証券のパク・ヒチャン研究員は「中国、インドなど新興市場は現在、景気過熱が懸念されるほどで、先進国の景気も予想以上に急速に回復している。各国が金融危機の克服と内需拡大に向け、大規模な資金投入を行った効果が表れている」と述べた。

 専門家は世界的に家電、自動車など耐久消費財の販売が伸びていることを景気回復の代表的なシグナルとして挙げている。世界の自動車販売台数は先月、過去最高の667万台を記録した。韓国の1-3月期の輸出が過去最高の1014億ドルを記録したのも、IT関連など耐久消費財の消費が伸びたことが背景にあると分析されている。

 これに加え、世界的な金融危機で生き残った主要企業の体質が強化された面もある。金融危機で収益力が低い企業が破綻し、生存力が強い大企業に有利な経営環境が形成されたからだ。キウム証券リサーチセンター長のパク・ヨンチェ氏は、「金融業に端を発した世界的な経済危機で、経営不振の製造業者が大量に破綻した。それにより、今後は世界的に大企業の地位が強化されるのではないか」と分析した。

 しかし、主要企業の業績改善が今後も持続するかどうかは判断が難しいとの見方もある。増益率が何倍にも達したのは、比較対象となる昨年1-3月期が金融危機の発生直後に当たり、業績が低迷したためだ。大信証券リサーチセンター長のク・ヒジン氏は、「世界経済が最も困難な状況を脱したのは事実だが、業績の伸び率は前年同期との比較により生まれた錯覚という面がある。今後は米国、韓国などの雇用市場や不動産市場がどれほど回復するかが重要な課題となる」と指摘した。

金起弘(キム・ギホン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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