新型インフル:発生から1年、残された課題とは(下)
■「運もよかった」
韓国保健当局の新型インフルエンザ対応は、他国よりも積極的かつ電撃的だった。李疾病管理本部長は「(タミフルなどの)抗ウイルス剤の積極的な投与、広範囲な予防接種などが相乗効果を挙げたものと見られる」と説明する。新型インフルエンザが疑われれば、直ちに抗ウイルス剤を投薬するようにしたこと、小中高校生を優先した予防接種などは、韓国の保健当局ならではの戦略だった。
運もあった。福祉部関係者は「想定された最悪のシナリオはすべて現実となったが、運がいいことに、タイミングもこれ以上ないというほどよかった。抗ウイルス剤が十分ではなく、『ワクチン主権』も確保できないまま予防を行ったが、かろうじて峠を越えてきた」と話している。
新型インフルエンザワクチン物量の100%(2500万人分)を調達した製薬会社「緑十字」ワクチン工場は、昨年7月2日に完成した。もし完成が3カ月遅ければ、「ワクチン主権」を確保できない韓国は今ごろ、ワクチンを求め世界中をさまよっていたかもしれない。新型インフルエンザを確保するカギの一つは、「地域社会での集団感染」を最大限に送らせることだったが、初の集団感染例が発生したのが7月20日で、ほとんどの学校が夏休みに入っていたことも幸いだった。
クォン課長は「油断するたびに何かが起きた」と話す。4月24日は、2008年から続いていた鳥インフルエンザの予防非常勤務が終わった日で、初の死亡例(8月15日)をはじめ、初期の死亡例はほとんどが週末に発生した。公務員の間では、「週末シンドローム」という言葉がささやかれたほどだ。
予想された悪材料も次々と現実になった。ワクチン接種の副作用は46件報告され、計6000万ウォン(約510万円)の補償が成立、抗ウイルス剤への耐性を持つウイルスの例も11件報告されている。
李本部長は「ワクチン開発を奨励し、新型伝染病に速やかに対応できる予防システムをしっかりと整えなければならないという教訓を得た」と語った。疾病管理本部はこうした内容をすべて網羅した「新型インフルエンザ白書」を6月に発行する。
金慶和(キム・ギョンファ)記者
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