ショートトラック:李政洙、郭潤起に資格停止処分

共同調査委が調査結果を発表

内部対立は逆に深刻化

 ショートトラック界を取り巻く問題が収まりを見せるどころか、逆に拡大して第2ラウンドへと突入した。文化体育観光部、大韓体育会、大韓スケート競技連盟による共同調査委員会は23日、韓国代表選抜試合での八百長や選手に圧力をかけた疑惑などに対する、これまでの調査結果を発表した。

 調査委はチョン・ジェモク元韓国代表コーチに「永久除名」、檀国大学の李政洙(イ・ジョンス)選手と延世大学の郭潤起(クァク・ユンギ)選手には、「1年以上の資格停止」の処分を勧告した。これに対してスケート連盟は、「規定に従い、手続きを踏んで対処したい」とコメントした。

 しかし調査委は、争点についての事実関係を明確にできておらず、調査結果の発表により、ショートトラック関係者間の対立は逆に激しくなりそうだ。李政洙の父イ・ドウォンさんは、「真実は巧妙に操られた」と反発しており、チョン元コーチは「とんでもない結果だ。対抗する手段を準備したい」とコメントしている。

調査委の限界

 今回の調査委による発表を通じ、ショートトラック代表選手の選抜と国際大会への出場をめぐって、「黒い取り引き」が行われていたことは事実として確認された。調査委は「昨年4月に行われた韓国代表選手選考会で、チョン元コーチが間に入って、李政洙と郭潤起の取り引きが行われた。五輪と世界選手権では、チョン元コーチが李政洙に個人戦への出場をあきらめるよう圧力をかけた」と説明している。

 しかし調査委は、このような取り引きが行われた理由については明らかにできなかった。チョン元コーチがなぜ取り引きを行わせたのか、また郭潤起は選考会でどのようにして李政洙に勝ちを譲ったのかについての説明は抜け落ちていた。チョン元コーチは「李政洙が先に取り引きを持ちかけてきた」と説明しており、李政洙は「何も持ちかけていない」と双方の主張は食い違っている。調査委のある委員は、「双方の主張が最も食い違う部分であり、結論は出せなかった」と述べ、調査に問題があることを認めた。

 さらに「今回の問題にスケート連盟幹部からの圧力があったのでは」という別の疑惑についても、調査委は「客観的ではっきりした証拠は見つからなかった」と説明した。

 一方調査委は、管理監督に問題があったとして、大韓スケート連盟のユ・テウク・ショートトラック副会長と、キム・ギフン元韓国代表監督に対しても、それぞれ辞職と3年間の活動制限などの懲戒処分を勧告した。

スケート連盟の動きに注目

 調査委が結果を発表したことで、ボールはスケート連盟に投げられた。バンクーバー五輪で過去最高の成績を上げたスケート連盟が、ショートトラックでの「黒い取り引き」の慣行を果たして解決できるか、という点に関心が集まっている。

 調査委の関係者はこの日、「それほどしっかりした派閥のようなものは存在しないが、スケート場や個人コーチを中心としたグループは形成されており、公正な競争を阻害している」などと述べ、ショートトラック界の現実を説明した。今回の事件は氷山の一角で、韓国ショートトラック界は大小の派閥や私設コーチ、さらに選手の親たちの利己的な行動によって構造的な問題を抱えているということだ。そのため今回も、連盟自らがショートトラック界の問題を解決するのは難しいという見方が大勢を占めている。

 調査委の発表内容について連盟のある役員は、「調査委員たちはショートトラックについてまったく知らない。そのため結果もひどいものだ」と顔をしかめた。ショートトラックを取り巻く問題はこれからが本当の始まりだ。

陳仲彦(チン・ジュンオン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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