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大量申請の懸念現実に 審査厳格化では限界も 外国人の子ども手当
平成22年度からスタートした子ども手当は、支給事務をスムーズに行うため、21年度までの児童手当の仕組みを踏襲した。月5千〜1万円の児童手当は支給要件が比較的緩かったが、子ども手当は22年度で一律月1万3千円、23年度以降は月2万6千円になる予定で、増額に伴い支給要件をいかに厳格化できるかが注目されている。
3月に成立した子ども手当法では、手当の支給を受けるために、親が日本国内に居住していることと、親が子供を保護監督し生計が同一であることを条件にしている。子供の居住地は国内外どこでもよく、外国人でも親族らを通じて母国の子供を養育していれば子ども手当が支給される。ただ、養育関係の確認方法は法律上の規定がなく、児童手当では自治体に丸投げされていたのが実態だった。
こうした問題点に対して厚生労働省は、23年度から子供の国内居住を支給要件に加える方針をすでに示しているが、22年度は「周知する時間がない」として、審査の厳格化で対応することとしている。全国の自治体に対しては3月末に▽子供と年2回以上面会▽おおむね4カ月ごとの仕送り−といった養育状況をパスポートや銀行の送金通知などで確認するよう通知した。
ただ、兵庫県尼崎市のように書類上は条件を満たしているケースはグレーゾーンのままだ。厚労省の子ども手当管理室は「母国で50人の孤児と養子縁組しても、社会通念上は子供を保護監督しているとはいえない」と説明するが、省内では「子供数がもうちょっと少なかったら一夫多妻制の国では実際にあり得る話なので、虚偽申請でも審査を通ってしまう可能性がある」(幹部)と言われている。「社会通念」というあいまいな基準で判断するのには限界がある。(桑原雄尚)