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2009年12月20日 (日)

政党は必要か その2

今日の新聞(朝日)を読んでいたら、オピニオンの特集で、「政党は必要か?」というテーマで3名のインタビューが掲載されていた。

村井良太氏(駒沢大准教授)
福田依里子氏(民主党議員)
東浩紀氏(批評家、東工大特任教授)

村井氏は、現在の熱狂なき政権交代、のように国民が一定の距離をとった形で政党にかかわるのも悪くないが、あえて「ひいきする政党を持とう」という提言。

福田氏はC型肝炎ウィルスの薬害問題解決の法の実現には同志の力が必要だ、という主張。

そして東氏である。

「朝まで生テレビ」で現在の状況とその場の議論をさんざんこきおろし、持論を展開していたのを少しだけ見たことがある。そのときは、「現在の政治の体制・政策実現の手法は破たんしている」という主張に強く同意したのであるが、

このコラムの冒頭には、「政党不要論」とその理由が展開されていた。引用する。

=== 引用初め

 現在の日本では、もう政党は機能を失っているように思います。

 政党政治は、国民を分断する大きな集団が存在し、政党が各集団の利害を代表していることが前提です。だが今の日本にそうした分断はない。地域共同体や階層などの中間集団が弱体化して、国民が原子化している。個人がさまざまな集団に多重帰属し、そのパターンが人によって違うので、政党が利害を代表できなくなっている。

=== 引用おわり

そのあとは、
ーーー
・流動化した情勢では、ラベリングされた「保守」とか「リベラル」とかいうパッケージによる機能は実質的に失われる。ばらまき政策になりがちになるからである。政権交代は、現状拒否の意思表明にすぎない。

・たかだか数個のグループにわけて民意を代表することは無理である。きめ細かい民意の反映方法が必要だ。
ーーー
と言っている。

ここまではいい。
政党不要論についてはこのブログでも以前に書いたが、
この論は全くその通りだと思う。

その後はどうだろうか。
かれの結論は、

ネットを使えばそれが可能だ、ということである。
まとめるとこういうことだろう。
ーーー
国民一人一人は様々な属性に多様に属しているから、
政党のような「選べない」ものを選ぶのではなく、
個々の民意をうまく集約する仕組みを作ればいい。
(それには強く同意。)

今は、技術的な手段としてネットが使える。
直接民主制に近いしくみや、
現在と逆に、似たような属性を持つ人を代表できるくらい、多数の代議員制をネット上で実現すればいい。
(そこは議論の対象になるだろう)
ーーー

その発言は異端児とみられるに違いないし、私も極端なところがあると思う。ネットで何もかも実現できるというのは夢物語だろう。

デジタルデバイドという問題もある。
ネットの利用を技術的・物理的・経済的に困難な高齢者層等の意思反映をどうするか、という問題からは逃げられない。
(それに対応するための別の方法は、ネットだけに依存しない方法で可能だと思うが。。。)

ほかにも技術的にはいろんな問題がある。
しかし、十分に議論の対象になると思う。

私個人は、確固たる認証技術を導入できれば、国民総背番号制の導入でネットを利用した形で多くの方法が可能になると思う。

(認証技術:これはアメリカを敵に回すかもしれないが)
(私は国民総背番号制推進論者である。この議論は、また別に。)

高コストで更新期間の長い選挙制度から、低コストで何度も民意反映ができるものへの制度設計は可能だろう。

ネットでの全面実施がむりとしても、
少なくともきめ細かい民意の反映、という点での意思決定システムの再構築は絶対に必要だ。

ーーー
東氏の論でもうひとつ面白いと思ったのが、議論の可視化である。

(1)民  → 議論
(2)議論 → 民

上の話は(1)のことであったが、(2)についても重要だ。

今回の事業仕分けは映像もふくめ、その中身が完全にオープンにされていた。

一方、地方での議会や諸会議は、事実上クローズドだ。ビデオ撮影など、とんでもないといわんばかりである。

要するに、「知らない間に決まっていた」ということが多すぎることである。

裁判員制度など、決まってからの報道ばかりで、決まる前の議論の伝達は極めて不十分だった。

これは、国会や議会の議論公開のありかたでもあるが、
現在のマスメディアの在り方の問題でもある。

いくら議論が公開されても伝えるメディアが用意されていなければ意味がないからである。

2つの必要を感ずる。

・マスメディアを介せず直接公開するチャンネルも完全に用意されること(国会の主要なものは動画が公開されている)
・議論を集約し、かつきめ細かい議論の伝達。

後者はそもそもマスメディアの役割であるが、あまりにも狭い。表面的であったり、結論ばかりで議論の中身を伝えていなかったり、と非常に薄っぺらである。

しかし、こちらには人手やコストがかかる。これは、ただネットで、ということにはならない。

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