商品を値引きすると、買い物客はますます安さにこだわるようになる――。そんな消費者の意識が経済産業省の調査でわかった。企業が値引きを競えば競うほど消費者も安さを求め、値引き競争が一層激しくなる。この循環が、物価が下がり続ける「デフレ」につながっているという。
昨年末、インターネットなどを通じて全国の3千人に対し、食品・家電・自動車・衣料の4製品を買う際、それぞれ「品質」「利便性」「価格」「ブランドイメージ」のうち何を重視するかを聞いた。
各製品とも平均価格で売られている場合、価格が44.9〜48.9%、品質が18.5〜21.4%、利便性が16.1〜18.7%、ブランドイメージが15.6〜16.9%で、どの製品も半数近くが価格重視だった。平均価格より2割安い場合は価格重視が9.8〜10.7ポイント上がり、6割程度になった。逆に、2割高い場合は価格重視が10.2〜11.4ポイント下がって4割程度になり、品質や利便性、ブランドなどで商品を選ぶ傾向が強まった。
同省は「企業の低価格戦略が、消費者の価格への意識を刺激し、デフレを加速させている」と分析する。デフレから脱するには、サービスやデザインを向上させて価格を維持したり上げたりする必要があるという。(大月規義)