「現場とのコミュニケーションを密にしていきたい」と語る吉田社長
鈴丹は2月21日付で、吉田馨社長が53歳という同社最年少の若さでトップに就いた。10年2月期まで3期連続の最終赤字と厳しい環境下での船出となったが、「構造改革」を掲げる吉田社長に抱負や今後の成長戦略を聞いた。
―厳しい中でバトンを受け継いだ。
「この一年間で構造改革をやりきらないといけない。重要な時に光栄でもあるが、重責も感じている。膿(うみ)を出し切って、次につながるステージの基盤を整えたい」
―構造改革計画を策定した。
「これまでやりきれなかったことに取り組む。育てていこうと取り組んできたメンズ事業から撤退を決めた。6月末までに現在ある6店舗すべてを閉鎖する。原点であるレディース事業の基盤を建て直し、生き残りをかけて取り組む」
―計画の柱は。
「これまで商品を切り口に全店に供給していたが、店舗は立地などによって需要も異なる。今回、スズタン、エスアイツーシー、スプルの3事業部制にした。商品と店舗が一体となることで、今まで以上に現場の声が反映されるようになる。それは既存店活性化にもつながり、結果的に見切りロスにつながる」
―営業畑出身として、現場の活性化策は。
「事業部制という小さい組織にすることで同じ課題を共有化でき、迅速な対応も可能になる。これまでは店長会議も年一回名古屋に集まっていたが、全国を7地区に分け、現場との距離を縮めた」
―市場環境をどうみている。
「昨年の秋口から急に悪化し、他社と比べ既存店の落ち込みが目立ち始めた。全品1割引など安売りが一気に進み、消費者の財布の紐(ひも)が厳しくなった。ただ、業界をみると、売れている店や商品もある。厳しいけど全部が厳しいわけではない。どう対応するかだろう。構造改革計画の最終目標は来期の最終黒字化だ」