6月に支給が始まる子ども手当をめぐり、兵庫県尼崎市で驚くべき申請があったことが明らかになりました。
22日、1人の男性が子ども手当の申請のために市役所を訪れました。その数なんと554人分のものでした。
申請に訪れたのは、市内に住む50歳代の韓国人男性。尼崎市によりますと、男性は、妻の母国であるタイで修道院と孤児院の子ども554人と養子縁組していると説明。タイ政府が発行したという養子縁組の証明書や、子どもたちへの送金を証明するものだという書類も持参していました。
月額1万3000円の子ども手当は、554人分で実に年間8642万4000円となります。
厚生労働省は、海外にいる子どもについて、「日本にいる親が子どもの監督や保護を行い、生計をともにしていることが確認されなければ支給しない」としています。
今回のケースについては、送金を証明しても、554人もの子どもの生活を実質的に親として面倒を見ているという確認ができないということなどから、申請は受理されませんでした。
男性は「何で受理されないのかな」と不服を漏らし、厚生労働省の担当部署の連絡先を聞いて帰ったと言います。男性が受給をあきらめたかどうかはわかりません。
「現段階では試行錯誤が多分にある」(市の担当者)
実は、こうした申請を懸念する声は法律の成立前からありました。
「本国に50人の養子した子どもさんを置いてきた場合はどうなるんですか」(自民党 平沢勝栄議員)
「海外での実態が表せる書類をいただいて確認をしていくということであります」(長妻昭厚労相)
国会でこの問題を追及した自民党の平沢勝栄氏は、こう話します。
「554人というのは極端ですよね。だから目立ったわけですけども、例えば10人、20人というのが出てきた場合、これをどうやってチェックするのか極めて難しいですよね。(民主党政権は)6月スタートっていうのが大前提としてあるもんだから、いろんな問題点を残したまま制度だけがスタートすると」(自民党 平沢勝栄議員)
7月の参議院選挙の前に支給するために成立を急いだとも言われる子ども手当の制度。今後、さらに微妙なケースが出てくるかもしれません。(24日17:33)