記者日記

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「人間として」 /埼玉

 3月、卒業旅行を兼ねて、イスラエルにあるホロコースト記念館を訪れた。その中にあった、ナチス・ドイツからユダヤ人救済に尽力したあるフランス人牧師の「ユダヤ人が何かは分からない。しかし人間が何かだけは知っている」という言葉が目にとまった。

 この春スタートした記者生活。先輩記者には「記者である前に一人の人間であれ」と激励された。まずは同じ「人間」として、相手の話に耳を傾けたい。そんな思いで、さいたま支局に来た。

 最初に臨んだのは、見習い警察犬・アボインの取材。「あがり症」が克服できないアボインが、今年もあきらめずに警察犬試験にチャレンジする姿に、就職活動中、面接でうまく話せず、何十社と落ち続けた自分の姿が重なった。

 人も犬も命を持ち、「心」がある。今後も、社会に生きるさまざまな姿を伝えていきたい。【山本愛】

毎日新聞 2010年4月22日 地方版

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