【ロンドン=土佐茂生】国際捕鯨委員会(IWC、本部・英ケンブリッジ)は22日、日本が求める沿岸小型捕鯨の再開を認める代わりに、南極海での調査捕鯨の捕獲数を、今後5年間で約400頭に半減、次の5年間で約200頭にまで減らすことを盛り込んだ新しい議長案を発表した。日本は沿岸捕鯨再開を歓迎する一方、調査捕鯨の大幅削減を厳しく受け止めている。反捕鯨国には容認できない内容となっており、今年6月にモロッコで開かれる年次総会で合意を得られるかは微妙だ。
議長案では、日本が行っている調査捕鯨や、ノルウェーとアイスランドの商業捕鯨をIWCが一括して管理下に置き、海域やクジラの種別ごとに今後10年間の捕獲数の上限を定める。
日本が求めていた沿岸小型捕鯨については、年間120頭を上限として再開を認める内容となった。
日本の調査捕鯨は2段階で減らす。最初の5年間はミンククジラ400頭、ナガスクジラ5〜10頭を上限とする。その後の5年間では、ミンク200頭、ナガス5頭の計205頭が上限となっている。
このほか、南大西洋に新たなサンクチュアリ(保護区)の設定や、鯨肉や鯨製品の流通は捕獲した国だけに限定、輸出入を禁止とする米国が求める案も盛り込まれた。
IWCのマキエラ議長は声明で「今後10年間で数千頭の鯨が殺されるのを防げる案だ」と話した。
ただし、捕鯨を容認する内容の議長案に対して、反捕鯨国の豪州が5年以内に南極海の捕鯨廃止を盛り込むよう求めているほか、捕鯨に反対する環境団体からも反発の声が上がっている。このため、年次総会で加盟国88カ国の4分の3以上の賛成を得て合意できるかは予断を許さない状況だ。