2010.04.21
ハルゲイサ病院に入院中の栄養不良児と母親。 壁に入ったヒビは、08年に隣接する建物で起きた自爆テロの振動によるものだという

ハルゲイサ病院に入院中の栄養不良児と母親。 壁に入ったヒビは、08年に隣接する建物で起きた自爆テロの振動によるものだというYASUSHI MASUTANI / COURRiER JAPON

増谷です。
ソマリランド(ソマリア)のルポ「『地図に載っていない国』 ソマリランドへようこそ」(6p)を今月号に書きました。いかがでしたでしょうか。現地滞在は実質5日間ほどの短いものでしたが、記事には書ききれなかったエピソードがたくさんあります。

ソマリア・レポート1はこちら>

何もないところから新しい国を建設するというのはいかに大変か。外国人としてはたから見ていても、彼らの努力と工夫に感心させられることがしばしばありました。

その一つが医療行政です。記事にも書きましたが、ソマリランドの国家予算は日本円にしてわずか50億円。その75%は、軍事関連や公務員の給料などに充てられるそうです。医療関連の予算は、5%しかありません。

保健大臣アブディ・ハイベ・ムハメドさんに、ソマリランドの医療制度について話を聞くチャンスがありました。ソマリランドには、日本でいう国民健康保険のような公的な保険制度はありません。だから、治療費は基本的に患者の全額負担。ということは、貧乏人は病院に行くことすらできないのでは?

そう大臣に尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「それは問題ありません。お金がないなら払わなくていいからです」
貧乏人は、0.5ドル(約45円)の登録料を払いさえすれば、あとは無料で治療を受けられるというのです。金持ちは治療費を払うなくてはなりませんが、それでも半額が国の補助金でカバーされるそうです。少ない国家予算でありながら、考えられないような福祉制度の充実ぶりです。

といっても、病院側には最新の医療器具を購入するお金もありません。いま最も必要なものは何かと尋ねると、
「救急車がほしい。NGOに医者の育成に取り組んでほしい」
と大臣はいいました。

今年、同国の大学の医学部を卒業して医者になったのはわずか24人。看護師は88人しかいません。病院も、医者も、看護師も、お金も、設備も、何から何まで足りないのです。

「(隣国ケニアの)ナイロビにはたくさんの投資や援助が入って、ホテルや飛行機、道路などの建設を後押ししている。ソマリランドにはその10%も入ってこない。もしソマリランドが国として承認されたら、世界中からお金が流れ込んでくるというのに……」

私たちはつい援助のしやすいところばかりを見てしまっているのではないか。そんなことを考えさせられました。

栄養不良が進行し、痩せ衰えた赤ちゃん

栄養不良が進行し、痩せ衰えた赤ちゃん  YASUSHI MASUTANI / COURRiER JAPON

2010.04.14

ヨーロッパ班のFです。

今日は軽いネタをひとつ。

先日、フランスのフィガロ紙にこんな記事が掲載されていました。

タイトルは「どんな料理にも変身する、海藻がブーム」

以前、本誌のCulture Boxのコーナーでも「スペインでWAKAMEブーム」と、海藻が練りこまれたパスタを紹介したことがありましたが、とうとうフランスでも市民権を得るまでになったようです。

Sushiブームが到来し、スーパーにパックに入った寿司が並ぶようになっても、「あのまわりの黒いものはなんだ?」と、眉をしかめるフランス人は数知れず。

「海藻だよ」と言うと、「ヴェー」と、なんともおかしな声を上げてきた友人もいました。そう、海藻は納豆と並び、ヨーロッパ人にはなかなか受け入れられない食材なのです。ブルターニュ地方では、海藻のエキスの入った美容クリームなどがタラソテラピーに取り入れられているようですが、なかなか食べ物とは結びつかないようです。

そんな海藻ですが、シェフのEric Coiselが料理に取り入れたレシピ本を2003年に出版したあたりからジワジワと注目されるようになり、「海藻入りパン」に「海藻入りバター」(細かく刻まれたワカメなどがバターに練り込まれている)と、オリジナリティあふれる商品が売り出されるようになったようです。フランスで人気の、ロシア生まれの紅茶ブランドKusmi teaからは、中国茶とミント、海藻のフレーバー「Algo-the」まで登場するほど。

ヘルシーブームといえど、まだまだ“肉食文化”のなかで、NORIやWAKAMEはフランスの食文化に根付くことはできるのでしょうか?

2010.04.10

5・6月合併号で、巻末特別企画として収録した「クーリエでしか読めなかった村上春樹インタビュー」を担当したKです。

創刊から4年半、思えばクーリエ・ジャポンは、世界のメディアを通して「作家・村上春樹」を常に見つめてきました。世界各地で、村上春樹作品はどのように受け入れられているのか。海外メディアは、作家・村上春樹という存在に何を見出そうとしているのか――。

2005年の創刊号で「国境を超えたHARUKIの世界」と題して特集を組んで以来、欧米アジア各国の「HARUKI」論を掲載してきましたが、そのたびに大きな反響がありました。貴重な本人インタビューを「もう一度読みたい」、あるいは「その号を買いそびれてしまったがどうしても読みたい」という熱烈リクエストもたくさんいただきました。そんな声にお応えして、今号では、これまでのインタビュー記事をまとめて再掲載しました! 村上春樹さんの作品が世界中で出版されていることを意識して、今回の特集は海外のペーパーバックのようなデザインになっています。ぜひお手にとってみてください。

クーリエ・ジャポン5・6月合併号_巻末

巻末綴じ込みで全16ページの特集になっています。