こうなると10年度以上の国債大量発行の危険が高まるが、それを避けるために鳩山政権は、巨額活用の後、唯一残った埋蔵金=外国為替資金特別会計の積立金約20兆円に手をつけるかもしれない。
しかしこの外為特会は円高で20兆円超の米国債等の為替差損があること、さらに資金はすべて政府短期証券という国の借金で調達されていることを肝に銘じておくべきだ。
厳しい状況に追い込まれた民主党だが、最後に現在の与党内の“空気”をお伝えしておこう。
民主党内では今、「一等市民」「二等市民」との隠語がささやかれている。政権に入った議員は一等市民、与党に残ったのが二等市民という意味だ。
一等市民はいや応なく、担当する省庁の分野について勉強をし、官僚から提出された資料を読み込む中で、初めて状況の厳しさに気づき、最近の菅直人財務相の増税発言のように言動を変えたりする。そして、それを見た二等市民はこう言い合う――「××大臣も官僚に取り込まれたな」。
端的に言って、「無駄の排除で財源は捻出できる」と公約したとき、それは無理だとわかっていた民主党議員は中枢部等に存在する。だが、素人の多い民主党内ではいまだに若手を中心に「財源は捻出できる」と思っている議員は多数いるという。
長期政権が続いた自民党では、閣僚や議員は継続的に官僚から情報を入手し、知識と政策の勘所を確実に蓄積していった(こうした関係すらも、政治家と官僚の「癒着」と決めつける論調もあったが……)。この情報力を基に利害調整を図りながら政策の妥協点を探っていったのだ。
そうした訓練を積んだ議員は圧倒的に少ない民主党。事業仕分け第2弾の報道を見るとき、こうした状況を頭の片隅に置いておくと有益だ。
■写真は昨年の事業仕分け
(週刊東洋経済2010年4月24日号 特集「経済超入門」より)
■週刊東洋経済■ - ≫≫≫販売部数伸び率ナンバー1雑誌 ご購読の申し込みはこちら!
最大40%OFFの年間予約購読申し込みも受付中 ■デジタルコンテンツショップにて記事ごとに購入することもできます(テキスト、PDF)
- 郵政民営化見直しには総論賛成、各論で賛否分かれる――東洋経済1000人意識調査 -10/04/23
- 日本の“ギリシャ化”が緩やかに進んでいる -10/04/20
- 鳩山政権「8カ月目の危機」を乗り切る法 -10/04/19
- 政治に振り回される日本医師会の前途多難 -10/04/19
- 官製ベンチャーファンドのお粗末、初案件は“大企業”支援 -10/04/16
- 「10分1000円」をどう活かすか? 理美容業界の未来を考える -10/04/24
- 郵政民営化見直しには総論賛成、各論で賛否分かれる――東洋経済1000人意識調査 -10/04/23
- 「その男、凶暴につき」 “ヤバイ日本”建設大綱――猪子寿之・チームラボ社長[中] -10/04/23
- 不況で引っ越しが減少、賃貸仲介業界に再編の波 -10/04/23
- 誰のための改正か? 業者も労働者も不安を感じる派遣法改正 -10/04/23