切れ長の瞳にスラリと伸びた手足。クールビューティーな容姿は、まさに“デキる報道ウーマン”だが、上山アナは気さくで大らかに笑う人だ。
「神戸出身の関西人ですし、アナウンス室でも間違ってゴミ箱をけ飛ばすようなおっちょこちょいなんです」と自己紹介。入社面接では漫才を披露するなどユニークなキャラクターで知られる一方、堅実な原稿読みで知られ、ついに夕方のキャスターを任された。
「寝耳に水で驚きました。いろいろな経験を積ませていただき、女子アナとして自分では“一丁上がり”と思っていたんです。今まで担当していたお昼のニュースが骨を埋める仕事だと…」
入社2年目で「ニュースステーション」のお天気キャスターに抜てきされるなど報道畑を歩んできたが、それは自分の適性を信じた結果だった。
「実は若いころから声が低いのがコンプレックスで、バラエティーでも『私、かわいくないなー』って冷静に自分の商品価値を分かっていました」と苦笑する。
同期の元テレビ朝日の徳永有美さん(34)、野村真季アナ(34)はバラエティーでも活躍していた。
「徳永には華やかさが、野村には上品さがあり、私のとりえは元気のよさしかないな、と思っていたとき、『声が低いからニュース向き』と言われ、それを一生懸命、磨いてきました」
試行錯誤の中、報道番組で一流の人々と出会い、刺激を受けた。「Nステ」のメーンキャスターだった久米宏(65)にも教えられた。
「ある日、『アナ人生をかけて読みたいと思います』とニュースを読んだとき、久米さんに『君は本当にアナウンサー生命を賭けたの?』と言われ、何も言えなかった」と振り返る。
「アフガニスタンの空爆取材に行き、親戚の遺体を埋めながら避難した、という現地の人の話を聞きました。空爆というひらがな4文字の裏にも人の生き死にがあると痛感し、言葉を大切に発信しなければと改めて思いました」
キャスターは真実とともに思いを伝える。それを肝に銘じ、ベテラン、渡辺アナと夕方帯のニュース戦争を闘っている。
「宜嗣さんは経験豊富ですし、自分の言葉で発信している。私もそうなっていかなければ。今の自分をたとえるなら、無色透明の原石。光るか光らないか、視聴者の皆様に見守っていただけたら」と自然体で“全力”を誓った。