2010年4月2日 2時34分 更新:4月2日 3時15分
公益法人の事業仕分けを統括する行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の茂木友三郎(もぎ・ゆうざぶろう)議員(キッコーマン会長)が、3月時点で少なくとも18の公益法人で理事長などの役員を務めていることが分かった。国からの支出が多く天下り先になっているとして国会で問題になった法人や、会計検査院から不正経理を指摘された法人も含まれている。仕分ける側と仕分けられる側を兼任している形で、対象法人の選定や仕分け作業の公平性、人選をした政権の対応が問われそうだ。【三沢耕平】
各法人や所管官庁によると、茂木氏が会長や理事、監事などの役員として在籍する18法人のうち、11法人に計39人の国家公務員が役員として天下り、7法人が国や独立行政法人から補助金や委託費などを受けている。茂木氏はすべて非常勤で無報酬だが、食品産業センターなど4法人でトップに就いている。
食品産業センターは収入に占める補助金の割合が58%。01年以降、常に改革対象とされてきた。また、茂木氏が理事を務めるユネスコ・アジア文化センターは08年、ODA(政府開発援助)の事業で文部科学省から受けた補助金を使い切るため、毎年度末に大量の切手などを購入していたことが発覚した。
今回の事業仕分けを巡っては特に問題があるとみられる50法人が公表されているが、茂木氏が役員を務める法人は含まれていない。
役員を多数兼務していることは、公益法人のあり方の観点からも問題をはらむ。内閣府によると、非常勤でも法人を管理・監督する責任がある。内閣府の公益法人行政担当室は「多数の理事を務めることで理事会に出席できないなど、役員の仕事を全うしていないなら問題だ」と指摘する。
公益法人の指導監督基準には、役員のうち公務員OBや同一の親族、特定企業の関係者が占める割合を3分の1以下にするとの規定がある。規定を逃れるために「名義貸し」の非常勤役員が多数に上る法人の存在が問題視されているが、茂木氏が理事を務めるある法人の幹部は「『名前だけ貸してほしい』と依頼した」と明かす。
茂木氏は毎日新聞の取材に「私が所属していることを理由に(仕分けの)選定作業から除外されるようなことはあり得ないと信じている。仮に(仕分け)対象になった場合は、個別の意見は差し控えるつもりで、公平な立場で職責を全うしたい」と書面で回答。「代表を務める公益法人の理事会等には極力出席し、それ以外の法人には委任状等で意思表明している」としている。