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■「仏の格付けと京料亭のプライド」 2009/10/13 放送

 ついに関西にも上陸したミシュランガイド。

 京都で6店、大阪で1つの店が三つ星を獲得しました。

 一方で外国人による格付けをめぐって、当初京都の老舗料亭が反発する姿勢を見せるなど世界的権威ミシュランにとっても「古都・京都」は一筋縄ではいかなかったようです。




 13日、午後2時・京都建仁寺。

 建立800年の京都・建仁寺で会見に臨んだミシュラン。

 大書院で開かれた会見では座布団に座った記者団がミシュラン側を取り囲む形で始まりました。

 <ミシュラン総責任者 ジャン・リュック・ナレ>
 「京都は最初からレベルが高かった。大阪の星の数はNYより多い」

 そもそもこのミシュラン関西版、話が持ち上がったのは今年4月のこと。

 橋下知事は関西復権になると満面の笑みで称える一方で、記者会見では単なる商業主義ではないか、との声も聞かれました。

 <江さん>
 「京都の伝統的な食文化を理解していないのではないか?」

 とりわけ噛みついたのが、雑誌「ミーツリージョナル」の元編集長・江弘毅さん。

 街に根ざした文化を広め、足で稼いで美味しい店を開拓するのがモットーの江さんにとって、すべてを星で格付けするミシュランの手法は受け入れ難い、というわけです。

 <江さん>
 「歴史とか見ない。職人さんが何人育っているのか全然評価しないのおかしい。星つけるのも子どもっぽい」

 ミシュラン掲載を拒むと息巻く料亭やレストランも多く、江さんはミシュラン調査員が来た店への取材を始めました。


 京都・祇園で日本料理店を構える佐々木さんも一方的な格付けに抵抗があり「掲載は断りたい」と話していた一人です。

 <祇園「ささ木」 佐々木浩さん>
 「フランスで一つ星を取ろうと思ったら並大抵の努力ではない。あそこ一つ星という日本人もおかしい。日本人向けに書くのではなく世界に向けた書き方をしないと、あれでは普通の雑誌に過ぎない」

 という佐々木さんの店にミシュランの調査員が来たのは1年以上前のことです。

 佐々木さんによると調査員がやってきたのは去年8月。

 一人は30代、一人は40代くらいの共に男性で個人名で予約をとり、2人で来店したそうです。

 時折、佐々木さんとも会話を交わしながら食事をした二人。

 その3日後ー

 再び来店した二人が佐々木さんにおもむろに見せたのは赤い手帳。

 手帳を開くとその中には「ミシュラン」の名刺が…。

 二人はいわゆる「覆面調査員」だったのです。

 <佐々木さん>
 「名刺渡せないって言うからもう一回見せてーなー、と。日本人だった」

 二人は佐々木さんにミシュラン掲載の話を持ちかけると「承諾書」なる書類を置いて店を後にしたといいます。

 <佐々木さん>
 「承諾書なくても本を出すんでしょ?」
 <江さん>
 「取材断られたら書かないというのではなく、断られても書くと」
 <佐々木さん>
 「それ大丈夫なんですか?」
 <江さん>
 「プライバシーの侵害にはあたらないというんですわ」

 ミシュランによると取材に応じた店は見開き2ページを使って紹介、拒否された店は片側1ページだけで紹介、余ったスペースには店の近所の写真を載せるというのです。

 30万部を売り上げた初版の2008年・東京版では
掲載拒否の店はゼロでしたが、2009年版では3軒ありました。
 
 このうち南青山にある寿司店の「海味」は一つ星だった初版では写真を載せて協力しているのに、二つ星に増えた今年は掲載拒否。

 何があったのか・・・、

 その訳を聞いてみようとしましたが…

 <海味のスタッフ>
 「親方はミシュランについて何も話すことはないと申しております」

 理由は教えてもらえませんでした。

 ミシュランに載った店の中には一時の人気で、常連客が来にくくなったという声や調査方法を疑問視する声があがっているのも事実です。

 では当のミシュラン側はこうした声をどう捉えているのでしょうか。

 総責任者に話を聞いてみるとー

 <ミシュランガイド総責任者 ジャン・リュック・ナレ氏>
 「一見さんお断りの店は会員制のクラブとみなすので調査の対象にはしませんが、一般の店であれば望む望まないに関わらず載せますよ。合意は関係ありません。私たちの義務は最高のセレクションを届けることなんです」

 ナレ氏によると、日本にいる調査員は総勢8人、外国人編集長をトップに7人の日本人調査員が活動しているといいます。

 全員ミシュランの社員で、男女比は明かせないとのこと。

 本国フランスで100年の歴史を誇るミシュランガイドですが、京都にはのれんを掲げて何百年という老舗もあります。

 そんな老舗であればあるほど「三つ星」以外は認めたくない…という本音も聞こえてきます。

 それに対しては。

 <ナレ氏>
 「3つ星だったらいいというのは俳優がオスカーをくれるんだったら、その映画に出演するというのと一緒です。あらかじめ星がいくつなら、というのはないんです」

 一方、祇園の佐々木さん。

 春には掲載拒否を明言していましたが、今回、改めて話を聞くと…。

 <佐々木さん>
 「写真を載せるんだったら気よく載せてもらおうと、考え方が変わった。ガイドブックじゃないのって。それじゃあ原点に戻って写真も撮ってもらおうと」

 京料理を世界に知ってもらう一つの機会と割り切って考え方を変え、掲載に協力したといいます。


 そして13日。

 ミシュランから連絡を受けた佐々木さん。

 <佐々木さん>
 「星2つです。よかった、2つで正解」

 2つの星を獲得していました。

 <佐々木さん>
 「京都で12年しか歴史ないのに3つもらったら歩きにくくなる。もらうべき店がたくさんある」

 関西版ミシュランで星がついた店の数はあわせて150。

 このうち掲載を拒否した店は京都で13、大阪で5軒のあわせて18軒にのぼりました。

 ミシュランガイドが京都に挑んだ秋の陣。

 すべての京都人を口説き落とすまでには至らなかったようです。




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