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【ドラニュース】


チェン7失点

2010年4月24日 紙面から

 えっ、ウソっ。中日・チェン投手(24)が23日の阪神戦(甲子園)に先発。3回まではピシャリと投げていたのに、自己ワーストの7失点でKOされた。ともに2死無走者から4回は2失点、5回はこれまた自己最悪の1イニング5失点。開幕2戦目に完封で1勝目を挙げてから、4戦勝ちなしの2敗目。早く嫌な流れを脱して、力強い本来の投球を取り戻してほしい。

 勝負の世界は紙一重。そしてチェンは紙一枚の制球の差で壮絶に散った。来日7年目で自己ワーストの7失点。チームは3位に転落した。150キロ近い剛速球が次々とトラのえじきになった。

 「調子はよかったんですけど、決め球が甘くなってしまって。試合をつくりたかったんですが、申し訳ないです」

 調子は悪くなかった。4回2死までパーフェクト。味方から1点の援護も得ていたが、鳥谷の内野安打で初出塁を許すと、手なずけていたはずのトラが途端にきばをむいた。新井の中前打で走者二、三塁とピンチを広げ、打者は最も警戒していた城島。フルカウントから真ん中付近に入った速球を左前へ運ばれた。逆転2点タイムリー。「ボールでもいいと思って投げた球が少し甘く入った」。紙一重の代償はあまりにも大きかった。

 実はオフから城島を強く意識していた。昨季の阪神戦は3戦3勝で2完封と得意にしてきたが、新戦力に警戒感を強めていた。02年にダイエー−オリックスの公式戦が台湾で行われた縁もあり、当時ダイエーの主力だった城島の知名度は高い。だからチェンも知っていた。昨年末に帰郷すると、地元メディアへの会見でわざわざ城島の名前を挙げ、こう言った。「城島さんが危険だと思ってます。まっすぐで抑えようと思ってます」

 速球だけで抑えると言ったのはリップサービス。実際にはDVDなどで研究し、変化球も使って封じるイメージを描いてきた。が、意識が強すぎたのか、魅入られるように球が甘く入った。3日の阪神戦(ナゴヤドーム)で右越えにソロを浴びたのに続き、またしても、致命傷を浴びた。

 捕手の谷繁も「1本出てからおかしくなった」と振り返るように、悪くなった流れは元に戻らなかった。5回も2死無走者から代打の関本への四球をきっかけに満塁とされると、新井に右越え3点二塁打を浴びるなど、3安打2四球で5失点。この回限りでマウンドを降りた。

 今季はまだ1勝止まりとはいえ、昨季の最優秀防御率に輝いた実力者。細かい制球など修正を重ねさえすれば、再び実力を発揮できる手応えはある。大敗の中のせめてもの救いである。「少しずつ制球が甘かった。調子は悪くないので、しっかり調整したいです。次はきっちり抑えたい」。次回登板は中5日で、最大のライバルである巨人戦(29日・ナゴヤドーム)の可能性もある。城島そして他の阪神打線に打ち込まれた悔しさをばねにして、紙一枚の差を埋めてみせる。 (清水裕介)

 

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