【コラム】自らの無知を嘆く企画財政部長官(下)

 さらに「アジアの人たちはなぜ世界の流れに出遅れたのか」と問いかけ、「知識が不足していた上に、そのための努力が足りなかったためにそうなった。本当に必死の思いで取り組まねばならない」という言葉で会見を締めくくった。

 昨年9月に続き、今年11月に開催されるG20首脳会議をソウルに誘致し、われわれは「100年前に日本の植民地だった韓国が、この100年で世界の中心になった」と騒ぎ立てた。「国の品格を高めるべきときだ」などという発言も相次いで聞かれた。しかし尹長官はこの日、「世界の中心」となるには、われわれの知識がまだまだ十分ではないということを、率直に告白した。

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は2007年1月、任務の初日から厳しい洗礼を受けた。前日の記者会見で、「サダム・フセイン元イラク大統領は処刑されるべきか」という質問を受けたのに対し、「フセイン元大統領は暴政を行った責任がある。死刑は各国が決める問題だ」と述べたことが問題となった。人権を重視する立場から、死刑に反対するという国連の基本方針に反するとして、米国や欧州のマスコミから激しい攻撃を受けたのだ。死刑制度に対する国際的な議論について知らなかったがゆえに招いたミスだった。その後、欧米の知識人たちが潘事務総長をどのような視線で見ているか、考えざるを得ない。

 われわれは貧困からは抜け出したが、知識の貧困から抜け出すにはまだまだ道のりは遠い。世界史をまともに教えられる高校が韓国に存在するのか、疑わしほどだ。国際会議に出席した多くの経験を持つある人物は、「韓国の外交官たちが持つ人権、環境、歴史、芸術などについての知識レベルは、欧米のしっかりした高校生にも劣るだろう」と語った。

 韓国の10歳以上の国民のうち、1日に10分以上読書をする人は10人に1人だ。しかも、これは漫画を含めての数字だ。国内にある大型書店が調査した売れ筋の本のタイトルは、「5分で…」「一目で…」といったものが毎年増えている。「知識の足りなさゆえにつらかった」という尹長官の言葉の意味を、いま一度誰もが深く考えてほしい。

李陳錫(イ・ジンソク)経済部政策チーム長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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