【コラム】「本を読む国」日本を見て(上)

 東京の地下鉄での風景は、ソウルの地下鉄とは全然違う。日本を訪れた韓国人は、本を読む日本人が意外と多いことに驚く。多くの日本人はかばんの中に文庫本を入れて持ち歩き、暇さえあれば取り出して読んでいる。数日前、通勤途中に東京の地下鉄で驚くべき光景を目にした。小学校3、4年生くらいの児童が地下鉄に乗ってから降りるまでの間、ずっと本から目を離さなかったのだ。日本では大人から子どもまで、本を読む人の姿が、新幹線や公園のベンチでもよく目につく。

 日本が「国民読書運動」を始めて、今年で17年目となる。この活動は、政府や政界、民間団体が完全に一体となっている。与党・野党の区別もない。先頭に立ったのは民間団体だった。1993年、「子どもや若者が本を読まない国に未来はない」というスローガンを掲げ、日本の出版業界、図書館、保護者団体など15団体が、一つの団体を結成した。子どもたちの活字離れが深刻化し、「非常事態宣言が必要だ」という全国学校図書館協議会の警告がきっかけだった。毎日新聞による調査の結果、93年当時、小学生の1カ月の平均読書量は6.4冊だった。中学生は1.7冊、高校生は1.3冊と、中高生が特に深刻だった。

 千葉県の女子高教師、大塚笑子氏は88年、当時担任していたクラスで、始業前の10分間、「朝の読書」を始めた。それぞれが好きな本や詩を読ませた。結果は大成功だった。生徒たちに「奇跡」と言っていいほど大きな変化が見られた。15年間、1冊も本を読んだことがなかった生徒が、3年後には読書が趣味というほどになった。5年後の93年、朝日新聞がこの「朝の読書」をコラムで紹介したところ、全国各地で次々とこの活動に賛同する学校が出始めた。300校、500校、1000校と増え、2002年には1万校まで広がった。今年4月現在、「朝の読書」を実施している小・中・高校は2万6531校(70%)で、公立の小学校の参加率は94%に上る。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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