消防をよくする会ニュース
* 発行/消防と防災をよくする名古屋市消防職員の会* No.9
* 質問・提案・困り事/何でも相談室 * 〒456-91熱田郵便局私書箱83号
*FAX(052)704-4774
6月15日(土)、16日(日) 東名阪の事故をテーマに
警防活動を考える会を実施
4月に発生した、名東区内の東名阪自 動車道で活動中の職員が負傷した事故は、消防職員なら誰もが関心を持っているところです。「消防をよくする会」で初めて「警防活動を考える会」を企画しました。参加者それぞれが資料を持ち寄り、活発な意見交換を行いました。
各署で、高速道路等の交通救助について様々な工夫が凝らされていたり、また、新たに事故防止対策が講じられていたりし、お互いに参考になりました。
また、同じような現場で活動する消防職員にとって、事故の詳しい状況や、現場活動のあり方を始めとする、今後の対策については、出来だるけ多くの情報が欲しいところですが、事故から2か月にもなると言うのに、署では詳しい話や、対策について公表されていません。これでは、同じような事故を繰り返すことになってしまいます。「消防をよくする会」でこうした話し合いをすることが、いま、大変意義のあることであると、多くの参加者から発言がありました。
この日の話し合いの内容を、類似事故防止のため、収集できた資料と共に掲載します。
消防職員の意識・要望についてアンケート調査を行っています
6月16日、全職員に要望調査のアン ケートを郵送しました。これは、消防職員が自ら行う初めてのアンケート調査です。
「消防をよくする会」がこうした活動を実施することを、「消防職員委員会ができるときに屋上屋を重ねるもの」との意識的な批判もあるようですが、消防職員委員会を、真に消防職員の意見が反映できるようにするために、多くの消防職員の意見や要望が何なのかハッキリさせていくことが、大切なのは明らかです。 既にたくさんの回答が寄せられていますが、「これが現場の意見だ」というものがまとめられるよう、一人でも多くの職員が回答を寄せるよう、各職場で声を掛け合っていきましょう。
アンケートの結果は、当然のことながら、当局に申し入れるとともに、各政党や職員組合にも働きかけて、実現をはかっていく予定です。
また、この機会に、周りの人達に「よくする会」に加入するよう勧めていきましょう。
消防職員委員会について
要望書を提出します
消防職員委員会が、その設立趣旨どおり、真に消防職員の意見を反映できるような組織とするために、「消防をよくする会ニュース」8号で、改善すべき点として確認された項目について、自治省消防庁ならびに名古屋市長あてに要望書を提出していきたいと考えています。
ご意見、ご要望のある方は、幹事会までお寄せください。
7月の活動予定
☆勉強会
テーマ 「夜勤と健康問題」
日時 7月20日(土)21日(日) 10時〜12時まで
場所 瑞穂社会教育センター
講師 愛知働くものの健康センター
警防活動を考える会の概要
T 東名阪事故概要
1 発生日時 平成8年4月13日 4時11分
2 発生場所 東名阪道下り2.9キロポスト
3 負傷者
(1) 名東消防署指揮隊 主査 坂野 優(37歳) 頸部挫傷及び右背部打撲(軽傷)
(2) 名東消防署指揮隊 主任 諸井 東一(51歳) 腰部打撲骨折 (中等傷)
(3) 名東消防署指揮隊 消防士長 加藤 哲(29歳)
4 事故種別 高速救急
5 事故概要 高速救急事案に出動した名東指揮隊が撤収間際に後方から走行してきたトラックに追突され、指揮車が大破するとともに、隊員3名と追突したトラック運転手が負傷した。なお、追突の衝撃でトラック前部から出火したが、比較的軽傷であった坂野主査が積載の粉末消火器で消火対応し、大竹主任は道路公団に連絡した。
6 警防本部の対応 3時51分、トラック単独交通事故の覚知と同時に、現場が半地下部分であるため、計画隊に無線中継隊(普通車1両)を付加し高速救急指令をした。
概ね現場活動が終了した時点で、道路公団から消防車が衝突され、職員が負傷している旨の連絡が防災指令センターにあったため、直ちに帰署途上の名東1、豊ガ丘1及び救急名東1へ再出動を下命するとともに、千種61(千種大隊長)、普通車1両(無線中継隊)を特命出動させた。
再度現着した救急名東1から負傷者3名のため救急隊2隊の増強要請があり、救急隊2隊を増強下命するとともに、局内関係各課に連絡した。
名消1は消防部消防課長命により、消防課長同乗のうえ、現場事故調査を実施した。
指揮車に追突しているトラックを指揮車から離すため、名東1からクレーン車の要請があり、第二救助44に特命指令した。
7 署本部の対応 名東51の交通事故覚知と同時に署本部判断により署長を現場出動させ、現場における消防部消防課長との連絡調整及び関係機関との連絡調整に対応した。
8 追突の原因 現場は半地下式の見通しの良い直線道路(愛知県警高速)隊では今井さん(追突したトラックの運転手)が指揮車に気づくのが遅れたとみている。(中日新聞 平成8年4月13日(夕刊))
U 高速道路における道路 公団、警察の出動体制
1 道路公団の出動体制について可動車両は常時3台であり、1台あたり2名体制。通常は巡回しており、事故の通報があれば巡回車両のうちで現場に近い車両が現場に向かう。
管轄区域は、東名−名神間は豊田〜小牧、中央道はジャンクション〜小牧東、東名阪は名古屋〜名古屋西である。
2 高速救急隊の出動体制 高速警察隊には名古屋東、名古屋西、岡崎の3分駐隊がある。名古屋東の管轄は、東名神は豊田〜名神の岐阜県境間であり、さらに中央道及び東名阪の一部である。名古屋西の管轄は、都市高速、東名阪、知多半島であり、岡崎の管轄は東名の静岡県境〜三好間である。距離にして3分駐隊により216キロメートルを管轄している。
V 各署からの要望 名東、西消防署等からの局への要望事項の要約は
次のとおりである。
1 救助出動については、現場活動の安全管理を図るため「安全管理警備小隊」(仮称)を計画隊として組み入れること。
2 東名阪自動車道の無線不感地帯(トンネル内)では、「無線中継隊」を特命出動させているが、迅速な出動を図るためシステムに組み込む。
3 出動部隊は、安全管理隊を含めた2隊以上の隊が集結後、高速道路に進入する。
4 二次災害の発生危険を回避するため、救急・救助事案の調査内容を簡略化する。
5 出動途上で救急・救助活動の必要性がない旨の情報(負傷者なし)を得た場合は、その時点にて帰署下命する。
6 救急管制は最寄りのインターチェンジへ走行しつつ実施する。
7 二次災害防止のため安全管理を基本とした警防活動マニュアルを策定する。
8 覚知が携帯電話による場合は、速やかに正確な災害現場の把握をする。
9 消防車両の改造等
(1) 遠距離から確認できる表示盤(2m×2m)が掲出できるように改造するとともに表示板の配置を要望する。
(2) 後部警光灯の大型化又は後部両サイドに分離し設置する。
(3) ブレーキランプ、ハザードランプ及びLED点滅灯一体型を車両上部に設置する。
(4) ナトリウム灯下における警光灯の視認性を向上させる。
(5) 停車活動時の後方視認性の向上を図るため、警光灯とは別に青又は黄色の回転灯を設置する。(停止活動中のみ点灯)
10 安全管理用資器材について
(1) JIS規格の安全帽の配付
(2) 安全チョッキ又は反射ベストの配付、若しくは防火衣の改良により、活動隊員の視認性の向上を図る。
(3) 強力ポーターサイン、コーンウェイト付きスコッチコーン及び信号炎管の配付。
(4) 救急車に150系の車載無線、若しくは携帯無線の設置。
11 日本道路公団(都市高も含む)及び高速警察への要望。
(1) 災害通報時点において進入規制を行う。
(2) 制限速度表示を0から80キロとか、徐行、事故等自在可変型への改修とその設置間隔を短縮する。
(3) 公団及び高速警察の初動対応態勢を増強する。
(4) 警告表示用資器材を各進入ゲートごとに設置し関係機関が共同使用できるようにする。
W 緊急事故再発防止 委員会の答申 (要旨)
人事教養課長を委員長とする緊急事故再発防止委員会の答申の要旨は次の通りである。
1 ハード面で緊急に整備を必要とする対策。
(1) LED表示装置付散光式警光灯(リフトアップ装置付き)を順次指揮車に設置する。
(2) 指揮車に「発光板」を積載し、視認性を向上させる。
(3) 発炎筒の配置。
(4) 活動隊員全員に発光式ベストを着用させるためにこれを配置する。
(5) 閃光灯火の配置。
2 ハード面で今後整備を必要とする対策
(1) 車両突入警報システムの導入。
(2) 閃光式警光灯を普通車後部に設置。
3 ソフト面での対策
(1) 災害活動要領灯等の見直し
ア 一旦インターチェンジ等で必要最小限の部隊が集結してから災害現場に出動することについて検討する。
イ 高速道路災害に安全管理を主たる任務とする支援隊(普通車)を出動させる。
ウ 高速道路災害に係る安全管理マニュアルの作成。
(2) 道路管理者等に対する協力要請
ア 早期に災害現場に到着し、警戒業務を実施。
イ 電光掲示板等の注意表示。
ウ 災害現場の状況、通行制限の状況についての情報の提供。
エ 消防部隊が引き上げるまでの警戒業務の継続。
4 連絡会議の開催 道路管理者、警察、消防の3者で定期的に連絡会議を持つように申し入れを行う。
X 交通管理員作業要領 (日本道路公団)抜粋
1 駐・停車する場合の心得
(1) 駐・停車するときは、追突事故防止のため、赤色警光灯、黄色警光灯及び点滅灯を点灯し、後方通行車に対し注意喚起すること。
(2) 事故車または故障車が、路肩にあるときは路肩に、走行車線にあるときは路肩よりの走行車線上に、追越車線にあるときは中央分離帯よりの追越車線に駐・竡すること。
2 異常事態が発生した場合における路上作業の体制
(1) 路肩に停車した場合は、第一乗務員の作業員と第二乗務員の監視員により実施すること。
(2) 追越車線に停車した場合は、第一乗務員の監視員と第二乗務員の作業員により実施すること。
(3) 4車線区間の走行車線6車線区間の第1、第2走行車線に停車した場合は、抽ヌ理車両から先に降りた乗務員の監視員と作業員により実施すること。
(4) 作業員は、処理・作業を行い、監視員は、処理・作業の安全を図るため、通行車の監視、通行車に対する注意の喚起及び誘導並びに暴走、突入車両の発見及び作業員への警報(避難)の発令を行うこと。
3 路上作業を行う場合の心得
(1) 路上作業を行う場合は自らの安全を第一とし、敏速に行動し、常に避難場所を確認しつつ作業員と監視員との密接な連携を保つこと。
(2) 車線に沿って歩行するときは、原則として路肩または中央分離帯を通行すること。
(3) 作業員と監視員とは、指差喚呼により安全確認を行うこと。
(4) 監視員は、路肩、中央分離帯またはカラーコーン等により危険を回避できる場所で、通行車に正体して立ち、赤旗等あるいは保安炎筒を使用して、作業員の安全を図るための監視等を行うこと。また、危険であると認められる場合は、所要の合図の方法により、警笛または掛声等で作業員に合図し、直ちに避難させるとともに監視員も避難すること。
4 交通事故に係わる路上作業における共通事項
(1) 車線に斜めに並べるカラーコーン等は、約10mの間隔で車線に対してできるだけ鋭角に配置すること。
(2) 車線に平行に並べるカラーコーン等は、約30mの間隔で配置すること。
(3) 車線に直角に並べるカラーコーン等は、約1.5mの間隔で配置すること。
Y 各種災害別救助活動実施 要領検討委員会報告書〜交通事故
(自治省消防庁抜粋)
1 現場到着時の状況確認
(1) 道路地盤の強弱
(2) 道路の高低、傾斜の状況
(3) 道路幅員(作業スペース)
(4) 交通量、交通規制の状況
(5) 人込み、野次馬の状況
(6) 警察官、道路管理者等が現場到着しているか。
2 活動ポイント
(1) 後続、通過車両による事故の防止
(2) 事故の規模等に応じ、警戒員の配置又は警察官、道路管理者等に交通規制を依頼し、通過車両による二次災害の防止を図る。
(3) 荷崩れ等による事故の防止
3 安全管理
(1) 停車位置 消防車両の停車位置は、指揮隊、救急隊、救助隊等救助活動に従事する隊は、事故車両を出越した位置とする。
その他、消火、交通整理等の二次災害防止隊は事故車両の手前に停車すること。
(2) 交通整理 活動中は、現場付近を通過する一般車両に十分通意する。必要により、隊員を交通整理に専従させる。
なお、警察官や道路管理職員が現場にいる場合は、区域を示して交通整理を依頼する。
Z 参加者からの主な発言
(1) 名東消防署員 東名・東名阪の災害出場の場合、出動隊はおおむね同一の入口から進入することとなるため、入口で全体がそろって進入し、現場を引き上げる場合、なるべく全体一緒が安全だ。救急管制も移動しながら行うとよい。指揮隊の調査も簡潔に行うとよい。
(2) 消防救助隊員 高速道路や国道23号線に救助出動する場合、指令センターに道路情報を必ず聞く。渋滞との一報があれば、活動する上で他の車両による二次災害の危険が減少されるので、救助活動に専念できることが判る。渋滞無しの場合二次災害の防止措置を取ることと救助活動の両面を考慮することになる。
車両の部署位置は、事故車両を通りすぎた位置を基本とするが、事故車両の手前側からチルホールで牽引しなければならない場合がある。部署位置決定のため事故車両に接近したならば極端にスピードを落とし車両内から部署位置の判断を行う。交通量が多いなかで、車両から降りての状況判断は危険が多いためだ。警察官は、道路パトロール隊より先に
付近の交番から来ることが多いが、この場合でも警察の責任において交通規制を行わせるようにする。必要に応じて隊員を警察対応に指名することもある。交通量が多い場合でも、やがては車が渋滞し交通規制も行われるので、とりあえず安全な場所で救助器具を準備し、要救助者の看察等を行いながら安全の確保を待って本格的な救助活動を行う。
救助活動が終了し、現場引き上げる場合、警察官の交通規制解除の前に引き上げることが大切だ。
(3) 港消防署員 国道23号線で救急事故が発生した場合、普通車隊として出動する。救助の場合は、特命により出動する。一番気を付けることは道路渋滞が起こるように走行し、二車線を規制するように停車する。車両が突っ込んで来ることを前提にして、安全な場所で待機するようにしている。
(4) 天白消防署員 それぞれの所属が単発的な情報をもっているだけで総合的な情報がない。事故の再発防止を図るためには「消防をよくする会」活動を通じ必要情報交換と意見交換が何より重要だ。
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