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【第168回】 2010年4月13日 週刊ダイヤモンド編集部
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「トヨタに残された最大のリスクについて語ろう」
企業賠償責任の専門家トム・べーカー ペンシルベニア大学教授に聞く

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―米国人はいまどんな不安をかかえているか。

 主に2つあると思う。まず、自分の車は安全に運転できるのかという不安。もう一つは車を買い替える時に中古車の評価額が下がってしまうのではないかとの不安である。

 車の不具合の原因を解明できれば、消費者は前に進むことができる。しかし、今の人々のパーセプション(認識)はトヨタ車に問題があるが詳しいことは何もわからないというものだ。先日のプリウスのブレーキ問題など個々のケースではそれなりに対応しているように見えるが、全体的に消費者の不安を取り除くまでに至っていない。

―トヨタは電子制御装置の欠陥を否定している。

 一方で、「意図せぬ急加速はアクセルペダル関連の不具合だけでは説明しきれない。電子制御スロットルシステムに問題があるのではないか」との指摘も多く、それがまた消費者の不安を高めている。真実がどこにあるのかは、私にはわからない。でも、もし同社が電子制御装置の不具合を知っていながら隠していたとしたら、それは大きな間違いであり、大失敗だ。ただ、万が一、そのようなことを示す文書があれば、法廷で明らかにされることだろう。

 この問題に関連して米国では最近、「臭い物に蓋をする」という日本の諺がよく言われているが、それもトヨタに対する疑いを強める一因になっているようだ。人々がいったん疑いをもつと、それを変えるのは非常に難しい。とくにトヨタは品質や技術で“超人的なブランド力”を築いてきただけに、隠蔽体質の疑いをもたれるのは大きなイメージダウンになる。実際、トヨタは過去の横転事故などに関する重要書類を意図的に隠したのではないかとの疑惑をもたれている。

 「臭い物に蓋をする」に対し、米国には「隠蔽は犯罪よりも悪い」との表現がある。つまり、企業が悪事を隠蔽すればより大きなトラブルになりかねないということだ。米国人はそのような企業にはセカンドチャンスを与えようとしないからである。

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