北海道内に供給された新型インフルエンザワクチンのうち5万2000回分が使われず、医療機関の余剰在庫になっていることが、道の調査で分かった。使用期限(半年~1年)後は廃棄せざるを得ず、約7800万円の購入費用は医療機関の負担となる。道と道医師会は22日、負担軽減策を求め、長妻昭厚生労働相あての要望書を民主党道連に提出した。
在庫量は2月末時点で、道内に供給されたワクチン90万回分の約5・7%に相当する。道健康安全局によると、道内の新型インフルエンザ患者数は昨年10月下旬をピークに減少。最近8週間は定点医療機関当たりの患者数が流行の目安となる1・0人を下回っており、ワクチン接種希望者もほとんどいないという。
また、当初供給されたワクチンの多くが、量が多すぎて使い勝手が悪かった10ミリリットル瓶(成人18回分)だったことも、在庫が増えた要因になったという。来季は新型と季節性の混合ワクチンが作られる見通しで、大半は未使用のまま期限切れになる可能性が高い。
国と医療機関の契約では、在庫の返品は認められていない。道や道医師会は「今後、新型インフルエンザが流行した場合に医療機関が損失を恐れ、ワクチン接種の業務委託を拒否することも考えられる」と訴えている。【岸川弘明】
毎日新聞 2010年4月23日 地方版