きょうのコラム「時鐘」 2010年4月23日

 毎日紙面に載る「ヒラリ君クイズ」は、なかなか手ごわい。きのうは、日本でハムが初めて製造されたのはいつか、という問題だった

答えの場所はすぐに見つかったが、「明治初期」には、いささか驚いた。もっぱら在留外国人が食べていたのだろうと、想像が付く。同時代を生きたわが父祖には、とても手の届かないごちそうであったに違いない

タイでエビの養殖が始まったのは、そんな昔ではあるまい。ジャパンテントに参加したタイ人が書いた作文が、道徳の副読本に採用されたという記事があった。エビを食べようとして、あれは日本人のために育てたものだ、と父親にいさめられた

そのごちそうのエビが、日本で食べ残されているのを見て涙が込み上げてきた、と書く。「いただきます」の意味を知ってほしい、という訴えには、言葉なくうなずくしかない

朝食をとらない子は、成績が伸びないという。食べ残しがやまない子に、「食事抜き」という思いやりの罰を与えたら、どうなるだろう。子どものころに、そんな罰を受けたという話をとんと聞かなくなった。良い時代になったのだろうか。