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有明抄

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4月22日付
 「墓穴を掘る」とは破滅に導く原因を自らつくることのたとえをいう。「自ら掘った墓穴に落ちて、はい上がれていない」。かつて首相秘書官として普天間問題に取り組んだことのある、みんなの党の江田憲司幹事長が今の鳩山政権の状態をこう評している◆言い得て妙である。普天間問題で墓穴を掘っているのは政権というより、鳩山首相本人だ。この問題がこじれたのは首相の言動が大きい。そもそも昨年の衆院選マニフェストには、米軍再編や在日米軍基地のあり方について「見直しの方向で臨む」としか書いていない。普天間には触れてもいないのだ◆それが、衆院選で党代表だった鳩山首相が「最低でも沖縄県外」と訴えたことで、いつの間にか最重要課題に浮上した。「5月末決着」を公約したのも首相だ。一人でどんどんハードルを上げているとしか思えない◆政府は鹿児島県・徳之島の首長からも門前払いされた。事ここに及んで、不可解なのは首相の物言いだ。記者団に「5月末には五月晴れにしたい」と発言するなど、必死さが国民に伝わってこないのは、どうしてだろう◆「今、国民との約束を守ろうと、身を粉にしてやっている」「自分も追い詰められて苦しいが…」などとさらけ出せばいい。生の声が伝わってくれば、移設先の説得でも何か一筋の光も見えてくるような気がするのだが。そして、きのうの党首討論である。首相の沖縄県民への思いは伝わったが、「腹案」も示せず解決への道筋は描けなかった。強気な答弁の裏に秘策があるのか。いまひとつ言葉が響いてこなかった◆腹をくくって交渉に臨むつもりなら、首相自身がまずは魂のこもった言葉を発し、自ら移設先に乗り込んででも汗をかく。その必死さがほしい。(章)
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