東海は平和? 北の船舶が毎日入港する束草港(下)

05年南北海運合意後、海産物を積んだ北の船舶が急増

 金を受け取った北朝鮮の船舶は、午後6時10分ごろ束草港を出港し、北朝鮮に向かった。出港直前、船には肉やラーメンなどが積み込まれた。船員たちのために荷主が持たせたものだ。船員は、北朝鮮では手に入りにくい食用油、牛肉、豚肉、ラーメン、度数の高い酒などを好むという。1回で少ないときは20万ウォン(約1万6800円)、多いときには50万ウォン(約4万2000円)相当の品物が手渡される。ある船舶会社の関係者は、「北朝鮮の船員たちは韓国の港に接岸しても、陸に下りることはできないため、こちらが品物を用意して船に積んでいる」と述べた。

 船が束草港を航行し始めたのは昨年6月からだ。それ以前は中国の船を利用し、北朝鮮産の海産物が持ち込まれていた。そのほとんどがホタテ貝などの貝類だ。昨年1年間で9271トンの海産物が束草港に水揚げされ、額にすると1507万ドル(約14億円)相当に上る。今年も3月までに2520トン、53億ウォン(約4億4500万円)相当の海産物が持ち込まれた。

 搬入量が増えるにつれ、束草港にはほぼ毎日北朝鮮の船が入港するようになった。昨年6月にはわずか4隻だったのが、12月には33隻に増えた。今年も1月に18隻、2月に32隻、3月には61隻と急増している。

 北朝鮮の船が東海岸の港を自由に行き来できるようになったのは、2004年5月に採択され、翌年8月に発効された「南北海運合意書」と、「南北海運合意書の履行と遵守のための付属合意書」が根拠となっている。この合意によると、承認と許可を受けた北朝鮮の船は運航が保障され、港湾内で韓国の船と同じ待遇を受けることができる。また韓国側の仁川、群山、麗水、釜山、蔚山、浦項、束草港と、北朝鮮側の南浦、海州、高城、元山、興南、清津、羅津港を結ぶ海上航路を開設すると明記されている。

 衣類や電気製品など、委託加工物を運ぶ仁川-南浦間の3232トン級の北朝鮮貨物船は、平均で週1回運航する。農水産物を運搬する釜山-羅津間の1592トン級貨物船も、月に1-3回行き来する。束草港では、200トン級前後の北朝鮮船10隻以上が随時航行している。

 韓国の荷主らは、北朝鮮の対南経済協力の公式窓口である民族経済協力連合会(民経連)丹東代表部で契約を交わし、一定額の担保を支払った上で海産物を搬入している。

 北朝鮮の船舶は統一部から船舶運航許可を受け、韓国の領海では海軍と海上警察による徹底した監視を受ける。航路は安全保障の問題上、韓国側の海岸に沿って近づくことはできず、東海岸沖合25マイル(46キロ)の公海上にいったん出てから北方限界線(NLL)を越えるよう指示されている。

束草=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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