東海は平和? 北の船舶が毎日入港する束草港(上)

05年南北海運合意後、海産物を積んだ北の船舶が急増

 20日午後1時、江原道束草市の束草港には、下部がグリーンで上部が白に塗装された2隻の船舶が入港してきた。船の煙突には赤い星を中心とした人共旗が描かれ、船員の多くが甲板に立っていた。

 船尾に書かれた船名の下には、出港地である興南の文字がはっきりと見えた。船は233トンと199トンで、船員はそれぞれ18人と16人。この2隻はホタテ貝を積んで入港した。

 哨戒艦「天安」の沈没事故や、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党秘書の暗殺未遂事件などの影響で、南北関係が緊迫した状況にある中でも、江原道束草港にはほぼ毎日北朝鮮の船が出入りしている。入港する北朝鮮の船舶は徐々に増えており、これらが持ち込む北朝鮮産の海産物は、1カ月平均700トンに達する。

 船が接岸すると、国立東海検疫所の職員が「船員リストを提出せよ」と言いながら検疫を開始した。正装姿の北朝鮮の船員は、「はい」と答えてリストを手渡した。検疫官はまず、船の衛生状態を確認。その後、全船員の体温を測り、目視で健康状態をチェックした。

 検疫が終わると、税関や出入国管理事務所の職員が船に乗り込み、リストに掲載された品目以外のものがないか、乗組員の数が正確かどうかを確認。北朝鮮の船員らは、これらの手続きに慣れている様子で、船上で会話を交わしながらたばこを吸っていた。

 確認の手続きが終わると、クレーンやトラックが到着し、ホタテ貝を船から下ろした。トラックに積まれたホタテ貝は近くの倉庫に運び込まれた。倉庫では税関の職員が品目と数量を改めて確認し、国立水産物品質検査院の職員がホタテ貝の状態を検査した。通常、北朝鮮から持ち込まれる海産物に対しては、重金属や毒素の検査、ウイルスなどのチェックも厳しく行われる。

 倉庫で検査が行われている間、荷主はドルでホタテ貝の代金を支払った。この日搬入されたホタテ貝は44.8トンで、1トン当たり2800ドル(約26万円)、計12万5440ドル(約1170万円)が支払われた。さらに、船1隻当たりの運送料として1万5000ドル(約140万円)と、北朝鮮船員への荷下ろし代として500ドル(約4万6500円)が追加で支払われた。

200トン級の北朝鮮の貨物船2隻がホタテ貝44.8トンを積んで江原道束草港に入港し、荷下ろしを行っている。船の煙突に描かれた人共旗が目につく。北朝鮮の船舶が東海岸の港を自由に航行するようになったのは、2005年8月に南北海運合意書が発行されてからだ。20日撮影。/写真=キム・ジファン客員記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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