北朝鮮、脱北者の「掃討」を命令(下)

 北朝鮮は先月23日、民族和解協議会のスポークスマン談話で、韓国の脱北者団体を一つ一つ名指しし、「真っ先に処断対象になる」と脅しをかけた。北朝鮮系ウェブサイト「わが民族同士」が今月5日、ファン・ジャンヨプ元書記について、「決して無事ではいられない」と脅迫したことも脱北者掃討の一環として読み取れる。韓国政府当局者は「今月10日の南北将官級協議の北朝鮮側団長が、脱北者による(北朝鮮住民向けの)ビラ配布を取り締まらなければ、『決定的な措置を取る』と通告してきたのは、異例のことのように思える」と述べた。

 韓国の安全保障当局者は、北朝鮮が脱北者に対する一連の強硬措置を取った背景について、ファン元書記を筆頭とする脱北者の「反金正日活動」が体制の安定を脅かす水準に達したという判断の結果だと分析した。

 脱北者が北朝鮮側に飛ばしている宣伝ビラには、北朝鮮で言及自体がタブーの金正日総書記の家系図などが書かれている。こうしたビラは、後継者とされるキム・ジョンウン氏(27)の偶像化プロセスの障害になる。また、脱北者が運営する北朝鮮向けメディアは、携帯電話を通じ、北朝鮮の内部情報をほぼリアルタイムで伝えている。昨年末の北朝鮮の貨幣改革に関する情報を韓国政府より早く入手したとされる。

 北朝鮮向けラジオ放送関係者は「脱北者出身のキャスターが、北朝鮮住民に分かりやすい言葉で放送している。最近の脱北者の中には、北朝鮮向けの放送をひそかに聴き、脱北を決意したという人が随分いる」と話した。現在12-14局が北朝鮮向けの放送を行っている。韓国に定住した脱北者は近く2万人を超える見通しで、中国にも3万-4万人の脱北者がいるとされる。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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