ファン・ジャンヨプ氏単独インタビュー(下)

金総書記は何のためにこのような犯行に及んだのか。

 「北朝鮮はもともとテロ国家だ。北朝鮮でテロというのは、国外だけで起こることではない。自国民も、誰もがテロという形で捕らえられている。金正日はテロを半島の南側にも拡大し、自分たちの目的を果たそうとしている。われわれが報復し、また北朝鮮がそれに応じてくれば、韓半島(朝鮮半島)はパレスチナとイスラエルのように、戦争が日常化する地域となる。韓半島が荒れ果てた戦場になりかねないということだ。そうなれば経済は崩壊し、国論は分裂し、激しい混乱が起きるだろう。金正日はこれを狙っているのだ。大韓民国は今回の事件で、多くの若い兵士と軍艦を失った。その被害は非常に大きい。しかしこれまで、国民は北朝鮮に対してあまりにも油断していた。今回北朝鮮と金正日の正体をはっきり理解すれば、より大きなものを手にするチャンスになるだろう」

天安事故が北朝鮮の仕業だということが明らかになれば、軍事的な対応を含む断固とした対応が必要との主張もあるが。

 「軍事的な対応は必要ない。すでに北朝鮮内でも金正日に反対する雰囲気が高まっている。いずれにせよ、金正日には全面戦争を行う度胸などない。そのため、このような形で挑発を続けているのであって、それに巻き込まれないようにしなければならない。この事件をきっかけに、われわれは国際社会と協力して名分を積み上げなければならない。特に、中国やロシアにも今回の惨状について積極的に訴え、こちらの対応の正当性を認めさせる必要がある。その後も金正日が挑発を繰り返せば、ためらうことなく報復すべきだ」

北朝鮮がまた挑発してくる可能性はあると思うか。

 「金正日政権はもともと暴圧政権のため、国内にも国外にも暴力を行使する。そのためこのような政権を相手にするには、“脅威とはどういうものか”を確実に示さねばならない。ただし、北朝鮮と中国との問題はしっかりと解決しておく必要がある。中国が北朝鮮の領土を狙っているという見方もあるが、13億人の国民を統治するだけでも大変な中国が、北朝鮮まで抱え込もうとはしない。今は北朝鮮での首領独裁体制を崩壊させることが重要なため、中国が北朝鮮を改革開放させるよう圧力を加えるべきだ。それでも北朝鮮が変わらないのであれば、中国も北朝鮮から手を引かざるを得ないだろう。そのような圧力を北朝鮮が感じれば、何らかの変化が起きるだろう」

今回の暗殺未遂事件で韓国国内の脱北者も脅威を感じたのではないか。

 「重要なことは、今や脱北者も金正日に対抗できるほどの勢力を持ったという点だ。大韓民国の政府と国民が、脱北者による北朝鮮の民主化運動を積極的に支援することも、北朝鮮に変化をもたらす一つの方法になるだろう」

姜哲煥(カン・チョルファン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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