「脱北者を装ったスパイ」を追跡

国情院・検察が監視強化、暗殺未遂犯の接触対象も捜査

 国家情報院と検察は、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記(87)を暗殺するため韓国に入国し、21日に逮捕された北朝鮮の特殊要員二人のほかに、脱北者を装い韓国国内に潜入している北朝鮮のスパイと思われる人物複数名の動向を監視していることが22日、分かった。

 消息筋は「今回摘発された工作員のようなテロ目的ではなく、一般情報収集のためのスパイが脱北者を装い、韓国に潜入しているとみられるケースが複数あり、その動向を追跡している。昨年初め、北朝鮮の対韓国工作窓口が偵察総局に一元化されてからの事例もあると聞いている」と語った。また、この消息筋は「今回のファン・ジャンヨプ氏暗殺未遂摘発をきっかけに、彼らはしばらく活動を慎み『潜伏』するだろうが、韓国で活動する定着スパイらとの接触を試みる可能性は常にある」と語った。

 2008年に摘発された女性スパイ、元正花(ウォン・ジョンファ)受刑者も脱北者を装い韓国に入国し、活動していたことが分かっている。

 また、国情院と検察は、21日に逮捕された偵察総局特殊要員キム・ミョンホ容疑者(36)とトン・ミョングァン容疑者(36)に対し、偵察総局内部の状況を集中的に取り調べているとのことだ。

 両当局は、「二人は『ファン・ジャンヨプ氏を素手でたたき殺そうとした』と話しているが、ファン氏が厳重な警護を受けていることを考えると、韓国で活動している定着スパイらを通じ、銃器などを受け取ろうとしていた可能性が高い」と報告、二人の接触対象についても捜査している。さらに、北朝鮮偵察総局が二人とほぼ同じ時期に「ファン・ジャンヨプ氏暗殺」という同じ目的を持つ「予備隊」を韓国に潜入させた可能性もあるとみている。

 今回逮捕された二人は、韓国潜入に備え、韓国の英語教材で教育を受けていたことも分かっている。また、06・07年から、既に死亡している北朝鮮住民に成り済ます訓練をし、脱北者を装って韓国に潜入する準備を進めてきたとのことだ。

李明振(イ・ミョンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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