【社説】韓中FTA、アジアの経済統合見据えた交渉を
李明博(イ・ミョンバク)大統領は20日、国務会議(閣議)で中国との自由貿易協定(FTA)締結問題を検討するのが望ましいとの考えを示した。李大統領は「中国は急速に成長し、市場環境が急激に変化している。われわれも能動的かつ効果的にそれに備えなければならない」と理由を説明した。
金融危機で欧米市場が低迷したのに対し、中国の内需市場は急速に拡大している。その上、半導体、携帯電話、デジタルテレビなど韓国の主力輸出製品のライバルとなる台湾は、中国との経済協力枠組み協定(ECFA)の締結を控えている。韓国とのFTAの批准を先送りしている米国に間接的に圧力をかける効果もある。李大統領は先ごろ、ワシントン・ポストとのインタビューで、「韓米FTAは中国の不確定要素を念頭に置くべきだ」と述べている。
昨年の韓中間の貿易額は1410億ドルで、韓国の貿易額全体の20.5%を占めた。米国の9.7%、日本の10.4%の合計を上回る数字だ。しかし、韓中FTAは2004年から政府、産業界、学界による共同研究が何回か行われただけで、政府間交渉は始まっていない。
韓中FTA構想が前進しないのは、農業、軽工業分野で韓国が大きな打撃を受けると懸念される一方で、中国の技術発展により、IT、自動車などの分野で韓国が受ける恩恵は大きくないとの判断があるためだ。一方、中国はコメなどデリケートは品目を除外してもよいとの姿勢を示し、FTA交渉に積極的だ。アジア経済の主導権をめぐる日本との競争が背景にあるとみられる。
こうした状況で、韓国は中国と日本のどちらを支持するのかという態度でFTA交渉を推進するのではなく、欧州連合(EU)のようなアジア経済圏の統合と韓半島(朝鮮半島)の統一を見据えた大きな将来像で交渉戦略を立てる必要がある。目の前の経済的利益を超越し、政治、外交、安全保障、通商の各面で国益を最大化できる長期的なFTAの戦略が求められる。
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