北朝鮮デノミ:昨秋、市場は活気にあふれていたが…(中)

 統一部の当局者は、「今年3月初めまで市場が荒れ果てていたのを見ると、卸売り商人が、価格がさらに上がるのを期待して商品を出していないようだ」と語った。北朝鮮の消息通は、「北朝鮮当局が、故・金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(4月15日)を控え、中国などから輸入した物資の供給を増やし、今では取り引きがやや活発化している」と語った。

金を払わず商品を持ち去る保安員。昨年10月、北朝鮮・咸鏡北道穏城の市場で、人民保安員が金を払わず、衣類を持ち去ったが、商人は何の抵抗もできない。/カレブ宣教会・本紙クロスメディアチーム

 デノミ以前の穏城の市場は、屋根を備えた「正式の売り場」(賃料を納付)のほか、市場外の露天商による売り場(無許可の市場)も多くの人々で込み合っていた。駅前では、取り締まりを避けて臨時に立つ「バッタ市場」も盛んだった。今回公開された映像には、女性商人同士で争う場面も映っていた。めん類を後払いで注文し、トウモロコシで支払いをしようとして問題になったとみられ、やじ馬も大勢いた。

 自転車に乗った人民保安員(警察)は、無許可の市場を取り締まりながら暴言を吐いた。ある保安員は、金を払わずに売り場の衣類を持ち去ったが、商人は何の抗議もできなかった。一方では、保安員と(商人と見られる)住民らが、路地でスンデ(ブタの腸詰め)などをつまみながら酒を飲む場面もあり、「商人らが酒手を出し、保安員と癒着している」(脱北者)という。この映像が撮影された当時の商品の価格は、北朝鮮の旧貨幣で運動靴が3万ウォン、古着1万2000-1万5000ウォン、油1キロ4500ウォン、イカ2500ウォン、葉たばこ1キロ500ウォンなど。販売競争が厳しい商人たちは、売り場の陳列台に飛び上がり、横暴に振る舞うこともあった。

デノミから3カ月後、商人が消えた市場。北朝鮮がデノミを断行してからおよそ3カ月後の先月撮影された、咸鏡北道穏城の市場の風景。売り場には、商人はもちろん、客の姿も見当たらない。/カレブ宣教会・本紙クロスメディアチーム

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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