北朝鮮デノミ:昨秋、市場は活気にあふれていたが…(上)

食糧・衣類・靴・油・海産物、韓国が送った支援物資まで…

取り締まりで暴言を吐く保安員の横暴な振る舞い、争う商人たち…その光景も今では見られず

 北朝鮮で昨年12月に断行されたデノミネーション(通貨呼称単位の変更、デノミ)を前後して、北朝鮮内の市場が急変したという事実をリアルに示す映像を、本紙とカレブ宣教会(代表:キム・ソンウン牧師)が共同で初めて入手し、20日に公開した。この映像は、デノミ以前の2009年10月とデノミ後の今年3月の2度にわたり、咸鏡北道穏城郡の市場や駅などを撮影したもの。穏城は、豆満江を挟んで、中国・図們との交易が活発で、市場が比較的発達していた。

昨年10月、人々でごった返す売り場。北朝鮮がデノミ(昨年11月30日)を断行する前の咸鏡北道穏城の市場の風景。屋根を備えた「正式の売り場」は、商人や客でごった返している。穏城駅周辺では取り締まりを避け、臨時に立つ「バッタ市場」も盛んで、北朝鮮の市場は活気にあふれていた。/カレブ宣教会・本紙クロスメディアチーム

 この映像を見ると、昨年10月の穏城市場は、韓国の市場のように活気にあふれていたが、今年3月には数人の商人が店を出しているだけで、閑散としていた。昨年10月には、食糧・衣類・靴・油・海産物など、商店の陳列台に置いていないものはないかのように見えた。しかしデノミの断行からわずか3カ月後には、トウモロコシが1袋か2袋ほど置いてある程度だった。また、韓国が支援した救護物資が穏城の市場に流入している状況も確認された。

 北朝鮮は昨年11月30日、「市場勢力(市場で金を稼ぎ、統制が取れない人々)」を抑え込むため、従来の貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンに変更する措置を強行した。しかし貨幣改革の実施後、商品の供給不足で物価が跳ね上がり、わずか1カ月で失敗と判明、北朝鮮当局は今年1月末から、市場の取り締まりの緩和に乗り出した。

賃料を払わない露天商の取り締まり。昨年10月、北朝鮮・咸鏡北道穏城の市場近くで、自転車に乗った人民保安員(警察官に相当)が、無許可の市場を取り締まりながら暴言を吐いている。/カレブ宣教会・本紙クロスメディアチーム

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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