韓国輸出企業、アイスランド火山噴火で打撃(上)

 19日、仁川国際空港の貨物待機所では、欧州の生産工場に発送予定のハイニクス半導体の製品が山積みになっていた。14日に発生したアイスランドの火山噴火後、ハイニクスが欧州に発送できずにいる半導体製品は300万ドル(約2億8000万円)相当に及ぶ。同社の関係者は、「1日で10億ウォン(約8000万円)ほどの損失が生じている。しかし、いつ荷積みできるかも見当が付かず、もどかしい」と話した。

 釜山地域の造船業者らは、20日からオランダ企業を対象に造船機材の輸出相談会を行う予定だった。しかし、欧州の航空便がすべて欠航となったため、困り果てている。ある関係者は「このところ造船業の不況が続き、今回の相談会で業績を上げる必要があったのだが、火山噴火の影響でこれも中止となる恐れがある」とため息をついた。

 アイスランドの火山噴火が韓国国内の産業に大きな打撃を与えている。航空便が途絶え、輸出に問題が生じているほか、企業家が出張に行けないなど、戦々恐々としている。貿易協会は、今回のアイスランドの火山噴火による19日現在までの被害額を1億2000万ドル(約110億円)程度と推定している。また、航空機の欠航による被害額は1日平均で2800万ドル(約25億円)を超えるという。

携帯電話、半導体輸出に打撃

 今回の事態で最も大きな被害を受けているのは電子産業だ。半導体や携帯電話の場合、容積が小さく高価なため、ほとんどが航空便で輸出されている。このうち欧州向けの貨物量は国内生産量の10%ほどに及ぶ。サムスン電子の場合、1日に30億ウォン(約2億5000万円)以上の損害を被っている。

 また、韓国や中国、インドなどで携帯電話を生産し、航空便で欧州に輸出しているLG電子も大きな打撃を被っている。現在、LG電子とサムスン電子が欧州に輸出している携帯電話は約20万台で、金額に換算すると、335億ウォン(約28億円)に達する。

 昨年、新型インフルエンザの影響で深刻な打撃を受けた旅行業界も頭を抱えている。国内業界最大手のハナツアーでは、キャンセルの問い合わせが殺到しているという。同社では今月16日からこれまで、欧州旅行のキャンセル件数が600件に上った。同社の関係者は「ほかの旅行先を勧めているが、代金返却を求める顧客もいる。欧州路線の欠航が長期化すれば、ようやく回復の兆しを見せた旅行景気が再び落ち込むのではないかと心配している」と語った。

アイスランドの火山噴火で、19日現在、欧州への航空便はまる四日間欠航が続いている。写真は、仁川国際空港に待機する貨物用航空機。/写真=イ・ジュンホン客員記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る