哨戒艦沈没:報復攻撃より「低強度の対応」検討(上)

1976年の板門店「ポプラ事件」では韓米合同で示威行動、今回は?

 1976年8月18日、米軍将校二人が死亡した板門店の「ポプラ事件」(非武装地帯の共同警備区域でポプラの枝を切っていた米軍兵士二人を北朝鮮軍が殺害した事件)では、在韓米軍は戦争準備態勢を意味する「デフコン3」を発令し、問題のポプラの木を切り倒した。F111戦闘機20機が韓半島(朝鮮半島)に急派され、米国海軍の航空母艦が東海(日本海)を北上した。韓国軍も、特殊戦司令部の要員が北朝鮮の哨所(しょうしょ)4カ所を破壊し、示威行動を展開した。すると北朝鮮は、人民軍総司令部名義で国連軍司令官に謝罪のメッセージを伝え、白旗を掲げた。

 2010年の哨戒艦「天安」沈没を見る軍の視線は、34年前のポプラ事件当時の韓米の態度に重なっている。韓国危機管理研究所のハン・グァンムン企画調整室長(予備役陸軍少将)は、「二度と挑発できないよう、米軍と連合して戦闘準備態勢を整え、一戦することも辞さない体制で備えなければならない」と語った。

 しかし専門家らは、軍事的措置を準備するとしても、「報復攻撃」についてはやや懐疑的だった。元国防長官のある人物は、「米英などと共に、まずは北朝鮮が言い逃れできない確実な証拠を提示した後、軍事的な報復よりは国際社会と共に外交・経済的な制裁を科すのが望ましい」と語った。

 国防部は、まだ公式には軍事的・非軍事的措置について言及していない。北朝鮮の仕業なのか、確認できていないからだ。しかし、北朝鮮の仕業だと確認された場合に備え、内部ではさまざまな戦略を検討している。国防部は、軍事的措置の中でも、火力を伴わない「低強度(low key)」戦術を優先的に見当している。国防部は、▲対北警告声明の発表▲対北抗議電通文の発送▲南北首脳級軍事会談の開催要求(厳正に抗議)▲韓米連合司令部主管で連合危機宣言▲国連軍司令部の軍事停戦委員会による現場調査と真相究明▲開城工業団地の閉鎖▲対北心理戦の再開▲南北海運合意書により北朝鮮の商船に開放された済州・釜山海域の封鎖▲チームスピリット演習の再開-などを考慮している。

 このような低強度方式について、軍内外には賛否両論あるが、大体において「軍事的な報復措置により、全面戦ではなくとも、局地的な衝突が起これば、経済的損失は北朝鮮より韓国の方がはるかに大きい」という認識が多数を占めた。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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