【社説】軍事的対応の余地残し、外交に力を(下)
しかし、1968年に北朝鮮の武装ゲリラが韓国の大統領官邸まで数百メートルまで迫り、韓国国民を7人射殺した「青瓦台襲撃未遂事件」でも、83年にミャンマーで北朝鮮の工作員が仕掛けた爆弾が爆発し、韓国の副首相、閣僚ら17人が死亡した「ラングーン事件」でも、87年に大韓航空機が空中で爆破され、115人が殺された際も、韓国の対応は国連を通じた北朝鮮糾弾、外交的・経済的制裁の域を出なかった。
96年7月には北朝鮮の工作員26人が潜水艦で韓国東海岸の江陵市の海岸に上陸し、これを制圧しようとした過程では、兵士ら17人が死亡した。4カ月後に米朝によるマラソン交渉の末、北朝鮮からこの事件に対する「深い遺憾」という言葉を引き出し、米国は50万トンのコメ支援を約束せざるを得なかった。こうした前例が重なり、北朝鮮は「南による軍事的報復」を恐れず、軍事的挑発を繰り返してきた。
今この瞬間も南北200万人の大軍がいつでも全面戦に突入できる態勢を整えており、北朝鮮の長距離砲、ミサイルは韓国全土を射程に入れている。韓国が軍事的対応に踏み切れば、大規模な人命被害が出るほか、世界10位圏内に入った経済的繁栄の相当部分が失われることを覚悟しなければならないが、北朝鮮はそれを利用しているのだ。南北が衝突すれば韓国側に大きな被害が出ることは事実だが、それがすなわち金日成(キム・イルソン)世襲政権の終末となることもはっきりしている。
柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官は18日、「『天安』沈没が北朝鮮の仕業だと判明すれば、まず考えられるのが国連安保理(による対応)だ」と述べた。しかし、北朝鮮は昨年6月の2回目の核実験後に採択された安保理決議1874による制裁を受けているにもかかわらず、態度を改めていない。韓国がそんな北朝鮮を相手にするには、自ら選択の幅を狭めるのではなく、「軍事的選択も含む全ての選択」の余地を残し、北朝鮮に圧力をかけなければならない。そうしてこそ、外交的解決法も力を発揮する。
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