現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. サイエンス
  4. 記事

母乳感染のウイルス性白血病、全国に拡大 検査徹底必要(2/2ページ)

2010年4月19日3時4分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

図:  拡大  

 そこで厚労省の別の研究班(主任研究者、斎藤滋・富山大教授)が全国1668カ所の産科の検査の実施状況を調査(回答率38.3%)。実施率は全国平均87.8%で、99.1%だったHIV検査に比べ徹底されていなかった。中国(79.5%)、北海道・東北(83.3%)、関東(84.6%)が低く、九州・沖縄でも87.8%にとどまった。近畿は92.2%、東海・中部は93.9%。

 研究班は「全国で検査して母子感染予防を検討する時期」と結論づけた。抗体検査で疑陽性が出る確率が高いことから精密な2次検査の必要性と、感染が見つかった妊婦の不安に対処するカウンセリング法を示した。

 斎藤教授は「妊婦も医師も関心が低い。すべての妊婦が検査を受け、対策を施せば2世代で病気を根絶できる」と話す。厚労省母子保健課は「検査の公費負担も含め検討したい」としている。(坪谷英紀)

     ◇

 成人T細胞白血病(ATL) HTLV―1というウイルスの感染が原因で起きる血液のがん。感染から50年ほどたってから発症する。抗がん剤治療や骨髄移植が行われるが、ウイルスの増殖を抑える効果的な方法がなく根治が難しい。このウイルスは、難病の脊髄(せきずい)症(HAM)も引き起こす。感染した母親が4カ月以上母乳で育てた場合の乳児への感染率は15〜20%とされる。前宮城県知事の浅野史郎さんが昨年6月に緊急入院したことで関心が集まった。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報

朝日新聞購読のご案内