私は二十五歳からフリーランスのライターをやっている。芸能、風俗、事件、人物、トレンド、グルメなど、かなり無秩序ともいえるが、多くの取材活動をやってきた。話を聞いた男女はゆうに三千人を超え(前回も書いたけどね)、今後も増え続けていくだろう。
実際、人間関係と仕事に恵まれたおかげで、これまで相当な原稿料を稼いできた。新聞社の役員や編集長以上の収入が一時期はあった。その頃はBMWに乗り、年に二、三回は海外旅行をした。家族みんなで行く場合もあれば、友達と行く場合もあった。知らない外国に一人でぶらりと出かけたこともある。それくらい儲かっていた。当時は日本経済もバブルだったし、マスコミも景気がよかった。
私は三十五歳までがむしゃらに働き、人脈を広げ、必死で勉強した。漫画原作の学校、文学サロン、カルチャーセンターの小説講座などへ、仕事をしながら通った。その頃の私は意欲的で、大学も中退していたため、ひたすら何かを学びたいと思っていたからだ。要は執筆活動の合間に、自己投資を始めたわけだ。
本を読んだくらいでは身に付かないことも多い。しかし、様々な講座に足を運べば、多少の知識が記憶として残る。私は十年を一区切りに、とにかく勉強を重ねた。それはほんとうに受験生のような勉強と呼べるものだった。十年間もやれば、他の人よりも確実に知識が身につく。
この蓄積と人脈で、その後の十年間はメシが喰えた。個人的な話をすると、スポーツ紙や週刊誌のレギュラーが増えたし、小説の連載ももらった。単行本や文庫本の依頼がきて、本も出した。漫画の原作者としてデビューしたことまである。まさに順風満帆だった。
芸人だってそうだ。ブレイクするまでに十年かかった人は多い。だが、十年の蓄積はその後の十年で完全に使い果たされてしまう。私の失敗は、それに気づかなかったことだ。
四十五歳になってからの私は、ある意味惰性で仕事を続けていた。後ろから追いかけてきた人に仕事でも収入でも脅かされ、或いは抜かされ、実際、私の収入は半減した。
これではいけないと思い、再び勉強を始めた。そしてまた蓄積し、新たな才能を開花させようと企んでいる。
必死で十年間努力せよ。勉強して邁進せよ。その間ほんの少し趣味の時間をつくってもいいだろう。ほんの少し恋愛してもいいだろう。ただ、恋愛に溺れてはいけない。
十年間、まず自分に投資してみないか。何に投資していいのか分からないようでは成功者になれない。きっと投資すべきものがあるはずだ。株の勉強でもいい。パソコンだっていい。小説の研究でもいい。商売だっていい。すぐには仕事に結びつかなくても、十年間の自己投資こそ成功への鍵になるはずだ。
のんきに人と遊んだり、テレビのお笑い番組を見たり、プロ野球中継を見ながらビールを飲んでいては確実に出遅れる。人が遊んでいるときにこそ勉強すべきだ。そうやって成功した男は、間違いなくいい女にもてる。
そう、成功した男は女にもてるのだ――。
十年も時間がないって? 十年の蓄積を五年で得たいというのなら、二倍の勉強時間を確保しろ。金がないって? バイトをして金をつくれ。そういうことである。