高速道路の料金改定はどうなるのか。今月2000円上限制を打ち出した前原国土交通大臣に対し、21日「待った」をかけた民主党の小沢幹事長。二転三転する結果となりました。
「(Q.高速道路の上限制について・・・?)あとでぶらさがり(取材対応)ますから」(前原誠司 国交相)
今月9日に前原大臣が発表した新しい料金制度は、普通車2000円など車種に応じて上限を設定。浮いた財源を高速道路の建設に充てるという内容です。
現在の休日上限1000円の割引や、時間帯別の割引の一部が廃止されることになり、利用者の多くが実質的な値上げとなります。ところが21日、政府と民主党の首脳会議の中で、小沢幹事長が異論を唱えました。
「高速道路の無料化と言っているのに値上げされるのはおかしい」(民主党・小沢一郎 幹事長)
高速道路無料化は、去年の衆院選挙で民主党がマニフェストとして掲げたものです。この小沢氏の指摘によって、政府内で再検討することになりました。
「これは党の考えでもあるということでありますので、この無料化の方向と矛盾しない形の中で、双方が理解できる形を決着していきたい」(鳩山首相)
鶴の一声で迷走する政策。実は、ここへ来て始まったことではありません。
「可能なかぎり、政府で反映していただきたい」(民主党・小沢一郎 幹事長、去年12月)
そもそも高速道路の料金に上限が設けられたのは、去年12月に小沢氏が提出した党の要望に、全国で統一の高速道路の料金設定や、料金割引のための財源を道路建設に回すことが盛り込まれていたためでした。
「『国民のみなさんの意思』を尊重していかなきゃならん、そう思っています」(鳩山首相、去年12月)
政策決定の一元化を掲げながら、結局は小沢氏に翻弄される鳩山内閣ですが・・・。
「党の皆さんも『国民の皆さんのお声』というのも大事されると」(鳩山首相)
「小沢氏=国民の声」ということなのでしょうか。党の要望によって見直しを迫られた前原大臣は強く反発。
「党に言われたことを一生懸命やったのに、ひっくり返されれば、それは怒るでしょう」(民主党中堅議員)
辞意を伝えるのではないか。そんな憶測も飛び交う中、前原大臣は22日昼頃、総理官邸で鳩山総理と平野官房長官と会談。そして・・・。
「私どもが基本的な考え方として提示した、先般、公表した料金割引の案については、現時点において見直しは行わない」(前原誠司 国交相)
前原大臣は、高速道路の新料金制度について協議し、見直しは行わないことで2人の了承を得たことを明らかにしました。
「小沢君は民間の幹事長なんだわ。前原君は大臣なんだわ。政府なんだから前原君の意見が優先するんじゃないかな」(民主党・渡部恒三 前最高顧問)
一方で、国会での審議を踏まえ、国交省で総合的に判断するとも述べ、制度の修正には含みを持たせました。
普天間問題の5月決着、高速道路新料金の6月実施、そして7月の参議院選挙。様々なタイムスケジュールが迫る中、鳩山内閣の迷走は続きます。(22日17:53)