高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
135:追悼・広川太一郎さん
<2008年3月=東スポ携帯サイトより>
個性派声優・広川太一郎さんが亡くなった。享年68。
広川さんが吹き替えたキャラクターは膨大な数に及ぶ。アニメ作品でも「ムーミン」(1969&1972年版)のスノーク、「あしたのジョー」のカーロス・リベラ、「チキチキマシン猛レース」のキザトト君、「宇宙戦艦ヤマト」の古代守、キャプテンフューチャー、名探偵ホームズなどなど。
本職と言うべき洋画の吹き替えでも、007シリーズの3代目ボンド役のロジャー・ムーア、「キャノンボール」や「Mr.Boo!」のマイケル・ホイ、トニー・カーティス、ロバート・レッドフォードの数々の作品。
テレビでも「バットマン」や「謎の円盤UFO」のストレイカー長官。また、今年2月に待望の吹替版DVD―BOXが発売となった「空飛ぶモンティ・パイソン」のエリック・アイドル役も絶品だった。
さらにラジオDJとしての顔もあり、歌手としてもスノークの口調のまま「スノーク家のしつけ」なる歌までリリースしていることを忘れてはならない。正直、こうして書き連ねていても、まるで整理がつかないほど活
動が多彩なのだ。
いわゆる二枚目声の代表作も多いが、やっぱり広川さんの代名詞と言えば
「この外人は、そんなこと言ってねえよ!」と思わず画面に向かって突っ込んでしまう、あのアドリブ全開(と言われる)な口調は、広川さん一代の名人芸だろう。
今も根強い人気を誇る名作
まさに吹き替えの魔術&魅力。そんな広川さんだが、不思議なことに声優として人気を得る以前に、俳優として出演している映画やテレビ番組は、いずれもカタブツ系の役柄が多い。
まず有名なのは「男はつらいよ」の第1作(1969年)で、寅さんの妹・さくらの見合い相手としての出演。さくらに同行して見合いに出席した寅さんは「マナー違反の見本市」の如き振る舞いで、さくらの縁談をブチ壊すが、この時、ほとんどセリフもなく、顔をひきつらせているのが広川さんだ。
また1964年には「忍者部隊月光」(フジテレビ)の第1話「潜行救出作戦・前編」で、忍者部隊の一員・月明(げつめい)として登場しているのも印象深い。
月明は悪の組織・ブラック団(※楽太郎とは関係あらず)の本拠地に潜入するも、囚われの身となってしまい、忍者部隊の秘密守秘のため拳銃で頭を撃ち抜き早々に自決…。ヤマトの古代守同様、第1話にして殉職するというキャラ(古代守は最終回直前に生存が判明したが)で、忍者部隊という組織の厳しさ
を視聴者に伝える役目を担った(第3話にはムーミンパパの声優・高木均が悪役・アグマンクとして出演しているのも何かの縁か…)。
後の芸風からして「自決したりなんかしちゃったりして~」と早々に、生き返っちゃいそうなモノだが、俳優・広川さんの演技は極めてシリアスなもの。知った上で見なければ「月明=広川太一郎」と気がつかない人も多いことだろう。
あくまで私的な希望だったが、大昔のクソ真面目で退屈な映画、サイレント作品などに、あえて「広川太一郎調」を被せ、どれほど毛色が変わってしまうモノなのか? そんな実験的なDVDを続々とリリースして欲しかった。早すぎる訃報が残念でならない。
あの声、口調は日本の財産だった。合掌。
本日の見出し 全日プロ激震!小島が退団
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