鳩山首相、党首討論後に「『愚直』さをむしろ今こそ生かさなきゃならない時だ」
鳩山首相と自民党の谷垣総裁が、党首討論で激突した。「わたしは愚かな総理かもしれない」と、自虐的な言葉も飛び出した舌戦は、そのほとんどが普天間問題に費やされた。
絶体絶命の鳩山首相と、がけっぷちの自民党・谷垣総裁による党首討論第3ラウンドの火ぶたが切られた。
鳩山首相が「私は、愚かな総理かもしれません」と述べたのに対し、自民党の谷垣総裁は「日本国総理大臣が、『わたしは愚かだったかもしれない』。なんですか、それは!』と声を荒らげた。
衝撃の自虐的発言で始まった党首討論。
これまでの党首討論で攻め手を欠いた谷垣総裁だが、今回は絶好の攻撃材料を持っていた。
谷垣総裁は「きのう(20日)、官房副長官が徳之島の3人の町長に電話をされて、『会いたい』と、こういうことをおしゃったそうです」、「そろそろ腹案をですね、きちっと明らかにすべき時期じゃないですか? 総理、腹案って何なんですか?」と、鳩山首相がひた隠しにする腹案に迫った。
鳩山首相は「腹案というものを持っていることは、事実でございます」、「この腹案が、アメリカに対して理解をされるかどうかということを、水面下でしっかりとやり取りしなきゃならない」、と述べた。
谷垣総裁はさらに、「これだけ、徳之島の皆さんに不安を与えているんですよ。これだけ不安を与えておきながら、まだ腹案を言えない。おかしくないですか」と食い下がったが、鳩山首相は「できるだけ早い時期が望ましいということは言うまでもありませんが、その時に皆さま方にお話をさせていただきます」と述べた。
谷垣総裁は「この期に及んで言えないというんではですね、徳之島の方に、私は気の毒すぎると思うんです」と述べた。
腹案を明らかにしない鳩山首相。
渦中の徳之島・伊仙町の大久保 明町長は「明解な場所は提示しませんでしたけれども、腹案は間違いなく、徳之島であると思います」、「もし仮に、(徳之島を)提案したら、それはあらゆる手段を使って、わたしたちは阻止をしていく」と話した。
伊仙町の大久保町長は、「地域を混乱させながらやる手法は、まったく愚弄(ぐろう)している」と、怒りをあらわにした。
徳之島の住民たちも、いらだちを募らせている。
徳之島の住民は「いや、もう反対ですね。もう本当に、島のことを考えて、未来、子どもたちのことを考えると、ちょっとね。もう絶対あり得ないと思ってますので。町長なんかの言う通り、もう絶対拒否してもらいたいですね」と話した。
徳之島の住民の思いをよそに、政争の具、そして国際問題化する普天間問題。
谷垣総裁が「今、この場で、きょうはテレビでたくさん国民も見ておられる。職を賭して、5月にはこの問題は解決すると、国民に約束してください」とただしたのに対し、鳩山首相は「まさに、すべての政策実現に向けて、職を賭して頑張ることは言うまでもありません。これからも頑張ってまいります」と述べた。
およそ37分に及んだ党首討論は、ほとんどの時間を普天間問題に費やし終了した。
「愚かな総理」発言に始まり、腹案の追及など白熱した党首討論。
民主党の山岡国対委員長は「総理になったから、特別偉くなったり、威張ってるわけじゃないと。パーフェクトなお答えであったと」などと述べた。
自民党の谷川秀善参院幹事長は「(党首討論をどのように見た?)困るわな。総理大臣が『自分は愚かな総理』だなんて言われたら、本当に国民はどうしたらいいのと言いたくなるよね」、「(腹案の名前は出ませんでしたが?)どっか島あんのかね、ほかに」と述べた。
鳩山首相は、夜の囲み取材で「私はしかし、その愚直さをむしろ、今こそ生かさなきゃならない時だなと」と、「愚直」という言葉を7回も使った。
(04/22 00:26)