平野氏の独自行動はこれが初めてではない。3月上旬には、ルース駐日米大使と秘密裏に東京都内で会い、後から首相に釈明した前例がある。平野氏が情報を囲い込むのは、政府案が決まらないうちに候補地名が表に出れば、案がつぶれるとの懸念があるからと見られる。
ただこうした平野氏の姿勢は、移設候補地の不信感を高めているのが実態だ。徳之島の大久保・伊仙町長は21日、朝日新聞記者に「平野さんは3月に官邸で会った際には、徳之島への移設案は初耳といった話をしており、不誠実だ。そんな人には会うことはできない」と怒りをあらわにした。
「いま、大変厳しい天気かも知れないが、必ず5月末までに五月晴れにしたい」。21日、首相官邸で記者団にそう語った首相には孤立感さえ漂っていた。(内田晃)